明確にしておいた方がよいと思うこと

9.11事件の陰謀説との関連で明確にしておいた方がよいと思うことがあります

9.11陰謀説の論議は時間の浪費だった

(1) 9.11陰謀説というのは反戦とか平和の問題を考える上で、具体的にいえば、アメリカ主体のアフガニスタン攻撃やイラク攻撃に反対する上で、なんら考慮に値する理由ではありませんでした。「ある(力のある)国がほかの国を侵略することが単に国際法上極めて悪質な犯罪行為である」という明白な理由があるからです(参考)。今回、アメリカ合衆国が、他国であるパキスタン共和国の国内で秘密裏にオサマ・ビン・ラディン氏を「殺害」したことも同様に明らかな犯罪行為であり許されるべきものではないし、法廷で裁かなかったのは失敗だったといえるでしょう。アメリカの、あるいはオバマ大統領の政治的動機について考えてわけしりに納得する意味はないと思います。

(2) 9.11事件についての陰謀説の主張は、事実の誤解や歪曲に基づくものであって、その点でも取り上げる必要のないものでした(参考)。

(3) さらに、9.11陰謀説を主張する人々は、主張の根拠が間違っているなどの批判に真剣に耳を傾けることはなく、10年近くにわたり終始同じ主張を繰り返してきました。このような主張の仕方は、反戦とか平和の問題であれ何につけても、多くの人が考え話し合う上で障害となります。ゆえに私は、(2)の具体的な個々の根拠の問題点に関して説明してきたつもりです。

(4) 9.11陰謀説の主張は、環境問題や反原発の運動に関わる人々の中の一部の人々の間で支持されてきました。また、そのような人々が支持する『金曜日』などのメディアも多くの紙面をこの陰謀説の問題に割いてきました。これは事実です。

(5)9.11事件陰謀説への批判は、トンデモ論一般や科学的ではない意見一般を批判する視点からもなされていました。これが、反戦や原発反対の主張がトンデモとか非科学的だという意見につながる場合が相当あったと思います。また、それらの人々はいまだに反原発の主張のごくささいなミスを探して批判をし続けているようです。もちろん反原発派のおしゃべり屋()の中に相当にいい加減な人々がいることは事実ですが、すでに述べた理由から(以下に再掲)原発は廃止するしかないことは明らかです。

まず(1)使用済み核燃料や放射性廃棄物の処理の技術が事実上ないこと、(2)原発の事故の影響は他の事故に比較できないほど深刻なこと、(3)原発は巨大技術であって、事故の可能性が必ずあること、加えて(4)日本は国土が狭い地震国であって、原発立地の適地は皆無であることです。そして、(5)現状でも電力供給は原発以外の火力・水力で十分にまかなえるからです(原発はあてにならないことを電力会社も自覚している)。

「9.11陰謀説の論議は時間の浪費だった」とは陰謀論者への批判側にもいえることだったと反省しています。

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環境活動家の田中優氏は、9.11陰謀説映画『ゼロ』に推薦文を寄せている。ネット上の録画や中継によれば、氏は、5月下旬に行なった講演会で、福島原発の多量の汚染水があふれるのではないかと心配しているという質問者に対し、汚染水は移送されているので大丈夫だとこたえ、さらにどこへ移送しているのかとの問いに柏崎刈羽原発に送られているのでしょうと答えている。東電や経産省のいう「移送」というのは福島第一原発敷地内部での置き場のやりくりのことであって、6月現在でも柏崎への移送どころかメガフロートさえ使われていない。柏崎までのその途方もない運搬方法を考えれば普通の感覚の人間ならこんなバカな答えは出てこないはずだし、ニュースを普通に聞いていればわかりそうなことだ。つまり田舎者のオバサンにすぎない質問者の方が福島原発の現状について詳しかったのだ。なお、主催者は、田中氏の話は単に反対するだけでなく再生可能自然エネルギーなど代替案を示している点が良いと評価してまとめているが、これほど馬鹿げたナンセンスなことばはないと思う。(5月29日、田中優さん講演会@飯田美術博物館  質疑応答)

あるいは、おもに合衆国発の9.11陰謀説のビデオや書籍などを精力的に紹介してきた環境・平和活動家きくちゆみ氏は「主にアメリカ人に向けて」こういっている。「福島には10基も原発があり(第1に6基、第2に4基)制御不能状態で、4基からはすでに放射性ガスが環境に放出され、太平洋を西へ渡っています。(10 nuclear power plants are under critical condition, 4 have started releasing radioactive gas to the environment, which is now heading west across the pacific ocean.)」のだそうだ。アメリカは日本からは東にある。なぜ彼女は「西」と書いたのか。彼女が東京周辺に住んでいるからに他ならないだろう。さらに、「今回、東北関東大震災でいのちと引き換えに地震国に原発を持つことの危険性を教えてくださった人々のご冥福を祈ります。」とはあきれるというよりは怒りをおぼえる(詳細)。

おそらく再生可能自然エネルギーというキャッチフレーズは彼等の好みだろうと思う。しかし、私達が、化石エネルギー、原発、再生可能自然エネルギーと三者を考えわせる必要があるだろうか。3つのキーワードを使って作文をせよと出題しているのは実は経済産業省や電力会社なのではないのか。化石エネルギーはまだ十分にあるのだから、とにかく原発は危ないのだから止めてもらいたい。原発廃止の理由はそれだけで十分だと思う。

田中氏や きくち氏のような輩にどう対処すればよいのか。各地の反原発、脱原発の集会や講演会や勉強会の主催者が金をかけて彼等を呼ぶことのあほくささに気付くべきだと思う。結局彼等も東京中心の考えに寄り添った連中だと思う。そして、環境問題についても原発問題についても専門的な知識がほとんどないことに気付くべきだと思う。

(2011/06/28. 2011/09/18,補足.)


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