中電南信変電所

 中電南信変電所を見てきました。駒ヶ根市の中沢地区にあります。高圧線の鉄塔が集まっている場所です。


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 行った目的は、下の写真の看板。敷地面積は、約2,7000平方メートル(3ヘクタール弱)になっています。伊那谷最初の50万ボルト変電所(超高圧変電所)と説明してあります。ガス絶縁開閉装置の採用で敷地面積を減らすことができたと書いてあります。400メガボルトアンペア(MVA)の変圧器が2基。


 豊丘村の上佐原に計画されている中電の新しい超高圧変電所の面積は8〜90,000平方メートル(8〜9ヘクタール)だそうです。面積だけみると、新しい変電所は南信変電所の3倍の規模です。なぜこんなに大きいのでしょうか。一概には言えないとは思いますが、リニアは伊那谷全体の電気の消費量をはるかに上回る電気がいるということなのでしょうか。

 大鹿村では、上蔵の小渋川沿いにできるJR東海の電力変換所までの送電線が景観を損ねるから地中化せよという要求がでています。豊丘の超高圧変電所予定地はじつは坂島の斜坑口の近くです。中電は地中化は費用がかかるといっていますが、リニア専用なのですから、リニア本線のトンネルを使って送電すれば良いという訳にいかないのが、リニアの技術的な要領の悪さだといえます。多分電圧が高いので危険なのでしょう。新幹線を含め在来の鉄道は列車が走るトンネルをつかって電力を送っています。


 看板の右上に電気の流れを示す地図があります。50万ボルトの南信幹線 ⇒ 南信変電所 ⇒ 泰阜南信線(15.4万ボルト) ⇒ 一次二次変電所 ⇒ 鉄道 という流れが分かると思います。リニアは1段階飛ばしているのですから、電気の消費量が従来の鉄道と比べて破格なことは明らか。

 従来の鉄道は列車ごとにモーターも制御機器も載せてあります。電気は最寄の一次、二次変電所から鉄道の変電所(き電所)に送電します。リニアは電力変換所の受け持つ約25kmの路線全体が一つのモーターです。この電力変換所が全線で約10箇所。ここへ電力を供給する送電線は15万4千ボルト。中電の区分だと超高圧変電所から送電します。リニアは従来の鉄道とくらべ非常に規模の大きなシステムといえます。なにか無駄な感じがします。

 飯田線の前身の伊那電は自社で水力発電所を持っていました。鉄道を動かすだけでなく地域に電気を供給していました。当時の電力需要は現在より当然少なかったのですが、全体のシステムとしてはリニアよりずっとスマートです。伊那電は民間の会社です。完成した区間を開業し、運賃収入を得ながら建設しました。全線を一時に完成させないと運行できないリニアとは大違い。


南信幹線


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 変電所を中心に四方に高圧線が延びているので、この地域では鉄塔が多数見えます。景観への影響は少ないと思うか、重大と思うかは地元の住民の意見を聞いてみないと分かりません。

 googoleマップの航空写真で見ると灰色の部分が約27900平米です。遠景から目立つのは50万ボルトの引き込み部分の2本の鉄塔です(航空写真では右に見える)。


 しかしこの鉄塔は27900平米の外にあります。敷地面積はどの範囲についていっているか、扱える電力の量とかなど不明確な点もあるのでもう少し調べてみようと思います。

(2015/07/19)

新設変電所の規模は南信変電所の四分の三

 中部電力に問い合わせたところ、変圧器ほかの機器類、建物を設置する平らな整地した部分(南信変電所でいえば27000平米となっている部分)は、豊丘佐原に新設される変電所では約2万平米だそうです。周囲の鉄塔その他の開発面積を含めると8から9ヘクタールということだそうです。設置される変圧器の容量は300MVAが2基。南信変電所の約4分の3の規模のようです。

 新設の変電所は、JR東海の上蔵(大鹿)と柏原(豊丘)の電力変換所の2つに送電するということなので、それぞれの電力変換所が300MVAの電気が必要ということ。リニアの電力変換所1つで南信変電所の容量の37.5%を必要とするのですから、少なくとも伊那谷ではやはりずば抜けて大きなものだと思います。

注:VAは皮相電力

(2015/07/22)