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リニアとトランスラピッド(上海リニア)

トランスラピッドもリニアと同じ磁気浮上式の鉄道です。2004年から上海で営業運行をしています。もう10年以上、最高時速430km/hで、大きな事故もなく、運行しています。同じリニアなんですから実績のあるものを採用してもよさそうな・・・

トランスラピッドとリニアの違いを調べてみました。

まず、マスコミなどで言われていること、国土交通省の審議会での説明から:

リニアは地震に強い

インターネットで見つけた話:

 日本のリニアは10㎝浮上するので地震などで多少段差ができても大丈夫だそうです。ちなみに中国ですでに運転しているリニアは1㎝しか浮上しないそうです。どうして中国に先を越されてるんだろうって思ってたけど、地震の多い日本では1㎝しか浮上しない方式では危険ということで10㎝浮上する超伝導方式をとっているそうです。(防災と減災を one more plan!:リニア、地震の時は大丈夫?)

「機械とオモチャ」の違い

上海のリニアと日本のリニアとでは雲泥の差がある。

鉄道アナリストで『徹底詳解 リニア中央新幹線のすべて』(廣済堂出版刊)の著者、川島令三氏によれば、「技術レベルの次元が違う」という。「・・・リニアは“超電導”技術を使い、10センチも浮上・・・一方、上海のリニアは・・・超電導に比べて圧倒的に磁場が弱く、浮上する高さは1センチメートル程度・・・地震などで軌道が歪めば、すぐに車両と軌道が接触する危険があります」。「技術レベルで見れば、超電導と上海の常電導は“機械とオモチャ”ほどの違いがあることは間違いありません」(川島氏) ≪週刊ポスト2013年10月18日号

トランスラピッドじゃダメなの?

中央新幹線を誰に建設させるか誰に経営させるか審議した、「交通政策審議会陸上交通分科会鉄道部会中央新幹線小委員会」の席上、委員からでた質問と国交省の回答。

Q1.トランスラピッド(上海リニア)とJR東海のリニアは技術的にどう違うのか?
A1.一番の違いは浮上する高さ。揺れなどを考慮すると高速走行では常電導で1㎝浮上のトランスラピッドより、超電導磁気浮上方式の10㎝浮上が適している。

上海リニア。鉄道と同様のプラットホーム。(Wikipedia)

Q2.実際に乗ってみてほとんど在来の鉄道と変わらないような感じを受けたが、トランスラピッド方式を中央新幹線に使った場合に何か大きな支障があるのか?
A2. 500㎞/hを目指す場合、常電導の1㎝浮上は不適切。超電導の方が高速安定性が高い。地震が起こったときのようなことも含めて安定的に走るためには10㎝の浮上高さが必要。トランスラピッドも、現在のところ営業最高速度430㎞/h走っているが、500㎞/hは実現できておりません。

リニアは脱線しない

 2010年8月30日、中央新幹線小委員会での井口雅一東京大学名誉教授の説明。

 鉄道の一番の弱みは脱線です。車輪が破損する可能性というのは、高速になればなるほど大きくなります。ドイツでは、高速列車が車輪の破損のために大事故を起こしました。これは左側です。また、新幹線は車輪の外周にたった4センチの高さのフランジというものを設けて、これでレールに引っかかっているわけです。ですから、地震のときにちょっと飛び上がれば、これはもう脱線は避けられません。・・・リニアでは車体が溝の中にすっぽりおさまっている形をしておりますので、いわゆる脱線ということは起こりません。

井口教授の誤解

エシェデのドイツ高速列車脱線事故

 車輪が破損して多くの犠牲者が出た事故はこの1件だけ。しかも、壊れたのはゴムのクッションを挟んだ特殊な構造の車輪。ゴムの弾力で車輪の外側のレールに接する鉄の輪っかが金属疲労で破損。そのまま約2分間、6㎞走行。その後、破片がポイントを壊したので3両目が道路橋の橋脚を破壊。4両目以後が落ちてきた橋げたに衝突。

(訂正 2017/11/25) 「失敗知識データベース失敗百選:高速列車ICEの脱線転覆」によれば:事故車両の車輪は通常の鉄輪ではなく周縁部分とそれより内側の間にゴムをクッション材として使用。衝撃を受けると周縁部分が変形する。時速200㎞で走行中、事故現場6㎞手前で1両目の客車の車輪の1つの周縁部分が金属疲労で破損。現場手前200mの分岐器で破損した車輪の台車が回転し脱線。この台車がさらに120m進んだところの分岐器を切り替える。3両目の客車が隣の線路に進入しながら陸橋の橋脚を破壊。4両目は陸橋通過後横転。5両目後半と6両目が落下した陸橋の下敷きになり後続車が次々と衝突。死亡101名、負傷者200名。全体が鉄でできた車輪の破損による事故は調べた範囲では見つかりませんでした。

中越地震で上越新幹線が脱線

 中越地震で起きた脱線の原因は、ロッキング脱線。フランジとレールがしっかりかみ合っていたからこそ起きた事故で、車体が飛び上がった結果脱線したわけではない。


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