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ガイドウェイ組立ヤードはアセス違反

 高森町は、2016年8月にリニアのガイドウェイの組み立てヤード用地として下市田河原の水田の一部を長野県に申請しました。候補地は高森町第1工業団地から北に続く惣兵衛堤防の内側の6.7ヘクタール。親水公園の隣となります。

 JR東海は、環境影響評価のなかで、「主要な人と自然との触れ合いの活動の場」という項目で「親水公園(天竜川親水施設)」で影響評価をしました。要約すれば、リニアの工事車両は500m離れた国道153号線を利用するので影響はないという評価でした。

環境影響評価書




 JR東海はガイドウェイ組立ヤードへ資材などを運び入れるのに明神橋のほうへ行く町道(地図の青色の道路)を使いたいといっています。リニアの工事関係車両は親水公園から500m離れた国道153号線(地図では赤色)を利用するという説明と違っています。これは環境影響評価法にたいする違反行為です。


 高森町は「JR東海さんのご希望に沿えるように」この町道を拡幅改良しようと計画しています。移転や土地をとられる住民がでてくるはずです。また、道路改良に伴う交通量の増加で集落内の生活道路としての安全性が損なわれ、騒音振動など生活環境の悪化が予想されます。また、ヤードの存在と町道拡幅で、将来的には、灯ろう流しの花火大会を止めるか規模を縮小するかしなくてはならないでしょう。

 評価書の写真説明の中で「高森カヌー大会」と書いてありますが、これは「全日本天竜川カヌー大会」です。このようにいい加減な評価書なのですが、JR東海は評価書は世間や住民に対する宣言だから環境保全についてこれ以上の内容の協定などを地元と結ぶ考えはないと言い切っています。そういうご立派なことを言うなら、500mという話はどうなるのか。

 道路改良でカワセミの家(カヌーハウス)は取り壊しになるのですから、親水施設に対して改変を加えないという部分にも反することになります。ヤードに出入りする大型車両の通行は利用者の車の出入りの障害になるはずです。なにより、道路を横断する歩行者にとって迷惑です。車にはねられ亡くなった方がすでにいます。町民の生活安全と環境影響評価を考えると、実におかしいと言わざるをえません。

“評価書が世間や住民に向けた宣言”


膨らむ期待、消えぬ懸念 リニア中央新幹線計画

『朝日新聞・長野県版』 2014年8月27日03時00分

 リニア中央新幹線計画でJR東海は26日、長野市内で記者会見し、この日、国交省に同時提出した補正後の環境影響評価書(アセスメント)の確定版と工事実施計画申請について説明した。大きな節目を迎え、沿線の自治体からは13年後の開業へ向けた期待感とともに、自然・生活環境への影響を減らすようさらに求めていくとの声が聞かれた。

 「JR東海が地元の理解を重要と認識し、『市町村や住民に工事内容をしっかり説明していく』と公式文書に記したことは、一つの収穫だ」。県環境政策課の担当者は、JR東海の補正後の環境影響評価書について、そう評価した。

 しかし、県や地元市町村が求めてきたトンネル非常口や工事車両の削減、小渋川橋梁(きょうりょう)(大鹿村)のトンネル化などは、工期に影響が出るとして今回もJRに受け入れられなかった。

 地元市町村と環境協定の締結を、という長野県独自の要請についても、同社の沢田尚夫・中央新幹線建設部担当部長は記者会見で「評価書が世間や住民に向けた宣言であり、それに加えて特段の協定を結ぶ考えはない」と明言した。

 県は「より丁寧な説明はするが、工期に遅れが生じるような修正には一切応じないというJRの姿勢がはっきり出ている」と受け止めている。

 先の知事選で、阿部守一知事はリニア計画を南信発展の起爆剤とする考えを示しつつ、「今後もJRには言うべきことは言っていく」と強調していた。このため、県は今後も、住民生活や環境への一層の配慮を求めていく方針だ。塩谷幸隆・環境政策課長は「特に協定の話はJRに粘り強く話をしていきたい」としている。





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