更新:2018/07/07

2017年度のリニア環境調査への意見提出について

 JR東海は6月26日に2017年度に沿線で実施した環境調査の結果を公表しました(『信毎』6月27日)。長野県環境部がこの調査結果について意見を募集しています(『南信州』7月6日)。期限は8月2日まで。

 長野県環境部は「県がJR東海に対して報告書への助言を述べる際の参考とするため、報告書について環境保全の見地からの御意見をお持ちの方は、次のとおり意見書を提出してください」と言っています。

 JR東海は2017年(平成29年)の4月21日に豊丘村本山の残土処分候補地内で希少種の移植作業を行いました。

 報告書のPDFの91~93ページに(抜粋)から植物について書いてあります。報告書によれば、私たちが目撃した4月21日の移植作業の対象はセンブリだったということになります。掲載の写真が不鮮明ですが、移植した分については一応定着したようです。しかし、種子を播いたほうは上手くいかなかったようです。いずれにしても、本山でのこれらの作業は環境影響調査法の主旨からいえば「違法行為」でした。工事の行われる予定がない場所で行ったのですから。もちろん、違法な移植作業から1年以上過ぎた現在でも、残土置場としての使用が確定したわけでもなく、工事も始まっていません。

 「違法行為」と言うべき作業の結果が芳しくなかったのですから、報告すれば良いというがごとくの態度は許されるものではないと思います。長野県知事の阿部守一さんはこの件についてJR東海の柘植社長との懇親会で意見を伝えたと環境部+リニア推進部は言っていますが、この報告を見る限り、「けしからん」あるいは「ちょっと困るんだけど」という意図が伝わったとは感じられません。

 この他にも、いろいろと問題はあると思います。意見のある人は意見を提出しましょう。

 なお『南信州』が意見募集について記事を載せたのは良いことだと思います。しかし、「県は住民意見の募集を始めた」は不正確。「住民」という言葉は都合の良い言葉だと思います。この場合意見を提出できるのは豊丘村民ですか、それとも伴野区民ですか。飯田市民はだめなのですか。環境部が対象としているのは「報告書について環境保全の見地からの御意見をお持ちの方」であって、それは、住民であっても、住民でなくても関係ありません。だいたい、本山の残土処分候補地には住民はいないはずです。また環境問題の専門家であってもなくても構わないわけです。まあ、少しピントが外れているかもとご自分で思っても、ご意見のある方は意見を出した方が良いと思います。「意見のある者」とは言っていないんですから、遠慮することはありません。