更新:2018/08/12

夏休み特集:リニアを作ろう

 昔、小学生だった皆さんへ。磁石の反発力で浮き上がるリニアの模型を作ってみましょう。材料は手に入れやすいものを選びました。磁石は100円ショップで売っているフェライト磁石を使います。黒いやつです。25個も入っていますが、そのうちの8個を使います。リニアの模型に6個、実験に2個。銀色のネオジウム磁石は強力すぎて工作しにくいと思います。ちょっと割高だし。


 まず磁石のN極、S極を調べましょう。20~30cm位の長さの木綿糸の端に磁石が入る輪っかを作ります。


 輪っかの中に磁石を入れてセロテープでとめます。


 糸のねじれをよくとってから、磁石を吊るします。太陽のある方向のだいたい反対を向いた方が N極です。この磁石を使って、残りの7個の磁石の極を調べます。反発するのが同じ極です。


 N極には赤いシール、反対側のS極には青いシールをはりましょう。残りの7個全部にN極、S極の印にシールをはって下さい。


 NSがはっきりわかっている磁石があったら、糸で吊るす実験はしなくてもすみます。


 リニアは反発力を利用しています。このフェライト磁石同士で浮かすことはできるでしょうか。無理ですね、くるっと回って引っ付いてしまいました。


 くるっと回らないように、ちょっと工夫を。


 反発力で片方の磁石が浮いています。でもなにか左右にふらふらしています。


 磁石同士を近づけるほど反発力は強くなります。磁石同士の距離が離れている方が反発力が弱いです。次の2枚の写真のようにして確かめるとわかります。つまりバネみたいな性質をもっているわけです。



 いよいよリニアの車体を作ります。厚紙を使います。四角い筒を作るので、写真では分かりにくいですが、長細いところは4つあります。1.9 X 1.9cmの方は折り曲げたところが両側で不ぞろいですがこれでも大丈夫です。


 細長い箱を作ります。


 写真で左が先端です。先端から2㎝の位置にN極を前にして磁石を取り付けます。両面テープなど使えば便利ですがセロテープでもとめれますね。


 ふたになるところを閉じてセロテープで2ヶ所くらいとめます。一番後ろにはS極を外側にして磁石をとりつけます。


 完成しました。


 割りばしを4膳とゴムバンドが必要です。写真のようなものを2組作ります。磁石は片側が割りばしから飛び出ないようにはさみます。


 段ボールの中に写真のように割りばしを取り付けます。


 車体をこんな感じに置いてみます。最初から浮くはずありません。割りばしの位置、割りばしにはさんだ磁石同士の間隔や向きを、浮くまで、いろいろ試してみましょう。


 ほら、浮きましたよ。



2018/08/14 動画を追加します。 ⇒ [ 動画 ]

 参考に、浮いた時の割りばしの位置や、磁石の間隔の数字を書いておきます。数字はミリ単位です。122は測り損ねたかもしれません、12㎝で作ったはずなのに。


 浮くには浮いたのですが、問題が。少し揺らすと結構揺れてます。反発力はバネのようなものですからポヨポヨとなるのは当たり前ですね。こんなふうにゆらゆら揺れて走っているとすれば、ちょっとこわくてリニアには乗りたくないですね。

 飯田市のリニア推進課のカウンターに、たぶんこれと同じ仕組みのリニアの模型があります。揺らせてみると、楽しいよ。この模型は、山梨のリニア見学センターや名古屋のリニア鉄道館でお土産物として売っています。結構高いので、自分で作ってみました。Youtubeの動画が参考になりました。

 磁石の同じ極同士を向かい合わせて浮かせようとしたとき、くるっと回って引っ付いてしまった実験でもわかりますが、引っ付く時には磁石同士がぴったり重なります。違う極同士を向かわせて引っ付けた状態から、上の磁石を横にずらしてみます。


 手を離せば、元の位置にぴったり重なります。この時、シールが貼ってあるので、磁石同士は直接さわっていないはずですね。


 なにかを挟むのではなくて、すきまを保てる方法を考えれば、吸い付く方がきちんとした位置にそろって、ゆらゆらしないのではないかと思いませんか。実は、名古屋のリニモは、だいたいこんな仕組みで走っています。超電導じゃなくて常電導です。


2018/08/13 補足

 いろいろと磁石をいじっていると面白いのですが・・・。例えば、こういうコイン型のフェライト磁石の場合、下の写真のようなことが起こりますが、これって、磁石の側面同士が反発したり、引きあったりしているのでしょうか?


 下の写真では、12個ずつくっつけた磁石を極をそろえて並行に置いて、1枚の磁石で矢印のように動かしています。なにか、同じ力を受ける場所が連続的にあるような感じがします。


 いじっていて思うのは、反発力で安定させて浮き上がらせるのはかなり難しいということです。


写真「浮いている!」では車体が斜めに傾いています。車体の下の面を重くすればまっすぐに浮かぶはずです。

 反対に引っ付いてしまうのですが、引っ付ける力の方がしっかりと安定していると思います。どうやって隙間を保つかというのが私たちのような素人にとってはハテナなのですが、ドイツと日本航空~名古屋鉄道の技術者は、ありふれた技術をくみあわせて、そのことを実現させたと言っています。上海のリニア(トランスラピッド)と名古屋のリニモ(HSST)はもう10数年以上、営業運転をしています。

参考にしたページ

 穴の開いた磁石を使っている例がありますが、入手しやすいコイン型の磁石でも浮かびました。穴が無くても問題は無いと思います。もったいないことはしないでください。

 多分、リニア鉄道館やリニア見学センターのお土産も同じ仕組みだと思います。どちらも良く揺れます。私のやったのは先頭が四角ですから、段ボールの壁に触れる面が大きいので揺れは少ないはずですがけっこう揺れました。