更新:2018/10/18、2022/07/29 訂正

リニア地下鉄に乗って

 用事があって横浜へ行ったついでに、リニアモーターカーに乗ってきました。横浜市交通局の地下鉄のグリーンラインです。推進用にリニアモーターを使っていますが、ちゃんと、鉄のレールと鉄の車輪を使っています。

 車体の重量を支えること、列車の方向を決めることについては、信頼性の高い従来の鉄道と同じ仕組みです。推進するために車輪をモーターで回転させるのではなく、リニアモーターの仕組みを使っています。トンネル断面が小さくできる、小さな半径のカーブが曲がれる、登坂力が大きいなどの利点があって、やや電力消費が大きいのですが、日本では7つの路線があります(日本地下鉄協会:リニアメトロの普及推進)。


中山駅。ホームドアがあります。


ごく普通の「普通」電車です。

 レールの間に鉄板()が敷いてあります。リアクションプレートと呼ぶそうです。これがモーターの回転する部分にあたります。モーターの外側のコイルにあたる部分は電車の下についています。詳しい説明は、日本地下鉄協会のHP、「リニアモータカー」ってどういうしくみ?「リニアメトロ」って何のこと?を見て下さい。図解があります。


矢印がリアクションプレート


架線から電気を取り入れています。運転手がいて運転しています。


駅の天井と架線の間隔はけっこうあるのに、架線と電車の屋根の間隔が少ないです。

 乗車したのは、下の写真の電車。グリーンライン10周年を記念して、昔の横浜市電をイメージした塗装をした電車だそうです(横浜市交通局:地下鉄グリーンラインはまちとともに成長し、10周年を迎えます)。


ホームドアが設置されるようになっても、乗降りは昔ながらの鉄道と同じです。

 「センター南」を後にする電車。地下鉄といっていますが、高架部分もあります。中山駅は地下でしたが「センター南」は高架部分でした。


 拡大写真


屋外では駅構内より架線の位置が高いのでしょう。パンタグラフが伸びているようです。

 車輪が小さいのに、乗り心地は悪くはないです。車内で聞く走行音はJR横浜線より静かでした。

 目的地は「新横浜」。「センター南」からはブルーラインです。こちらは普通の地下鉄。いつもは、中山から新横浜の間はJR横浜線を使いますが、時間に余裕があったので遠回りをしてみました。


 こちらもホームドアがあります。


 「第三軌条方式」といって、3本目のレールから電気をとっています。昔ながらの方式。最近は普通の電車と同じに架線からパンタグラフで電気をとる地下鉄が多いようです。そうしないとJRや私鉄と相互乗り入れができません。(参考:日本地下鉄協会:屋根にパンタグラフがない!電気はどうしてる?)


 第三軌条は駅と駅の間では、複線の中間に、駅の近くでは、ホームの反対側に設置しているようです。


大江戸線

 5年ほど前、東京へ行った時に乗った都営地下鉄の大江戸線。こちらもリニアモーターカー、リニア地下鉄です。「両国」から「都庁前」まで乗ったと思います。


車輪が小さいので、ちょっとユーモラスな顔をしています。


ホームドアがあります。


横浜は4両編成ですが、大江戸線は8両編成で、当然、ホームが長いです。トンネルの壁が曲がっています。たぶんシールド工法でトンネルを掘削したのでしょう。

 ほとんど妄想の産物のJR東海の超電導リニアだけでなく、リニアにもいろいろありますよ、という意味で紹介しました。

リニア地下鉄については、次のページも参考になります。


訂正 (2022/07/29)

 写真でご覧の通り錆が見えますね。常識的にはアルミだろうと思ったのですが見た目はどう見ても鉄だったので鉄としました。このページをご覧になった方が横浜市交通局に質問しアルミとの答えだったとご指摘くださいました。リアクションプレートは良導体であるアルミ板と鉄板、あるいは銅板と鉄板の2層で構成されるようです。鉄板を使うのは磁気回路を形成するためのようです。

参考:日立評論1991年3月号:地下鉄電車用リニアモータ駆動システム