更新:2018/12/21、2018/12/31

プラレールでリニアを考える

 皆さんよくご存じのとおり、「プラレール」というのは、株式会社タカラトミーが製造販売する鉄道のおもちゃです。

 普通の鉄道と、レールや車輪の形が違いますが、実際の鉄道でも初期のころはこんな形に近いレールと車輪が使われていたようです。


(ウィキペディア:Permanent way (history)より) プラレールの外側の囲いをはぶいたかっこうです。

 「プラレール」は、約20㎝の長さの直線レール、曲線レール、ほかに分岐装置(ポイント)などの線路の部品を組み合わせていろいろな路線をつくって車両を走らせて遊びます。

 ちゃんと曲線レールがあります。直線だけでは「面白くない」ですからね。ところで、直線レールだけでぐるっと一周するような路線は作れないでしょうか。

 直線レールを、「素直に」真っすぐつなげた状態。

 たとえばこうやって曲げます。継ぎ目の片方の隙間にマッチの軸を無理に押し込んでいます。レールは継ぎ目で、ほんの少し曲がっています。物差しと比べて下さい。直線レールをこうやっていくつもつないでいけば「非常にゆる~い」カーブができるはずです。

 こんな感じに、できないわけではないですが、日本の住宅事情をかんがえたら、やっぱり曲線レールは必要です。(注意:レールの材質は軟質樹脂製ですが、これ以上曲げると壊れそうです。)

 写真は標準の曲線レール。半径21.6cm(線路中心で)です。円形に組み立てると、コタツ板の上でも環状線ができます。

(追加写真:12月31日)

てもとにある全部の直線レール(7本)でカーブをつくってみました。マッチ棒で曲げています。直線レールは1本の長さが21.5cm、7本で150.5cmが曲げたら中心線で149.5cmでした。4本目の中心が直線から9cm離れています。8畳間が、約3.6m×約3.6mです。一般の家庭で直線だけで周回できるようなレイアウトを組み立てるのは無理です(※)。おなじように、超電導リニアも狭い日本で路線を建設するのは無理です。円形の線路の内側が標準の曲線レール。外側は複線の外側の曲線レールです。(※ この方法で、直線レールだけで円形をつくったとすると、直径は中心線で約6.3mになるはず。)

 というわけです。

 実際の鉄道でも曲線レールは必要です。でないと、やっぱり「面白くない」。超電導リニアのガイドウェイは鉄道のレールにあたるのですが、コンクリート製の約12mの長さの直線状のパネルにコイルを取り付けたもの。つまり、直線だけで路線を建設しなくてはなりません。上で試した、プラレールと同じように、継ぎ目でなんとかして、無理に曲げることができます。その限界が半径8000mのカーブなのでしょう。しかしそれでは、地形が複雑で狭い国土の日本には、不向きです。(補足)

 全国各地の中核的な都市を結ぶという全国新幹線鉄道整備法の目的に反しています。なのに国土交通省は全国新幹線鉄道整備法に基づいてJR東海にリニア中央新幹線の工事を認可してしまいました()。

第一条 この法律は、高速輸送体系の形成が国土の総合的かつ普遍的開発に果たす役割の重要性にかんがみ、新幹線鉄道による全国的な鉄道網の整備を図り、もつて国民経済の発展及び国民生活領域の拡大並びに地域の振興に資することを目的とする。
第三条 新幹線鉄道の路線は、全国的な幹線鉄道網を形成するに足るものであるとともに、全国の中核都市を有機的かつ効率的に連結するものであつて、第一条の目的を達成しうるものとする。

 「プラレール」の線路の部品でちょっと面白いものがあります。「まがレール」という商品名。ジャバラになっていて、曲がり方を自由にかえれるレールです。2種類の曲線レールだけでは接続できない部分に使うらしいです。


 じつはこれが、超電導リニアの分岐装置の曲がる部分によく似ているのです。


(鉄道総合技術研究所>宮崎実験線の各種技術 より)

 従来の鉄のレールのような滑らかな曲線のポイントはできません。


さて・・・

技術レベルで見れば、超電導と上海の常電導は“機械とオモチャ”ほどの違いがあることは間違いありません

 と語った識者がいたそうです。でも、超電導リニアは「おもちゃ」の「プラレール」と比べても「面白くない」と思うのです。

 タカラトミーはリニアのおもちゃ「リニアライナー」も販売しています。これは曲線もちゃんと走れますが、左右方向の案内は車輪を使っています。そしてガイドウェイのカーブもプラ製で滑らかな曲線になっています。リニアモーターを使い、磁石の反発力で浮上しますが、実物とは、かなり違う方式です。実物と同じように、分岐装置が複雑になるのでしょう、ポイントの部品はないようです(レイアウト)。実物と違って「面白さ」の大事な要素の「カーブの走行性能」が、きちんとしているので周回コースで走ります。

 世界中どこにも超電導方式の鉄道を建設した国はありません。他国に技術がないのではなくて、開発しても実用にならない技術を見分ける力があったからでしょう。直線しか走れないではどこの国でも、大人にとっても、子供にとっても、「面白くない」はずです。

※ 国土交通省を相手に、リニア中央新幹線の建設工事の認可の取り消しを求める裁判が行われています。関心のある方は「ストップ・リニア!訴訟原告団:訴訟のいきさつ&争点」をご覧ください。 また、ご支援をお願いします。⇒ 「飯田リニア通信:ストップ・リニア!訴訟


補足:12月31日

 下の図は曲がり具合を極端に描いています。プラレールの実験では「△」の位置に少しだけ隙間をつくりました。


 図の緑の部分は、ガイドウェイの側壁パネルにつける個々のコイルを取り付けるときの調整範囲とします。各コイルの表面の中心から例えば4㎝離れた点を結んだのが赤い曲線です。こんなふうにカーブでは調整するのかも知れません。しかし、「△」の隙間の大きさは、列車の進行方向に沿った向きの調整できる範囲で決まってくるので、大きくとることはできず、ほとんど直線に近いカーブしかつくれないと思います。