更新:2018/05/31

第14回豊丘村リニア対策委員会、5月30日

関連ページ:豊丘村内のリニア関連工事の様子、2018年4月

「今の最新の技術でやるんだで、心配せんたって、大丈夫だに」

 豊丘村リニア対策委員会の第14回が豊丘村保健センターでありました。長野県、JR東海、中部電力の3者が出席。計画の進み具合で大きな変化はないとの予測もあって、委員の欠席も多少目立ちました。

 JR東海からは柏原の変電所用地について幅杭打ちを行ったこと、工事用道路の改良工事の状況の説明がありました。中部電力が自主環境調査を行いその結果の縦覧が村役場と飯田支社で6月11日まで可能との報告がありました。消防訓練があるので駐車を遠慮して欲しいと指定された場所に平気で車を駐車していた長野県は、前回の対策委員会以後は進捗はないと説明。

 委員からの質問は、地下200mをトンネルが通過する福島区長の水枯れについての説明会についての質問と、ついでにやる横断歩道のマーキングのやり直しを早くして欲しいという要望以外は、酒井村議、吉川村議による主に本山の残土置場関係の質問だけでした。

 吉川議員とのやり取りの中で、調整池の容積の算出基準について、JR東海の若い社員が、計算式は県の指針か何かにあるから自分でやってみろ見たいなことを言って、吉川議員に反撃を食らう一幕もありました。ちょっと難しい問題なんですが。

リニア対策委員会は住民対策委員会

 豊丘村では本山の残土置場が将来、土砂災害を起こすのではないかと心配している人たちがいます。そのほかにもリニアの工事に関連して不安を感じている人たちもいます。彼らの中には、リニア対策委員に代わって質問してくれるようにお願いしてる人もいます。現在は議会選出の酒井議員と吉川議員が住民の質問を代行してくれています。村議としての職責を果たしていると言ってよいと思います。このことについて、今回の対策委員会では、事務局から、住民の質問を代行する場合は文書にして事前通告をするように、また可能であれば依頼者の住民の氏名も伝えるようにという指示がありました。さらに、専門的な内容については、事業者との間で個別にやり取りを行うように要望が出されました。

 対策委員は全てが何か他の役職のある人がその職務の一部として委員を引き受けています。発言をする委員はごく少数です。だから、この委員会はアリバイ作りのためのもので、リニア対策ではなく住民対策委員会だと皮肉った人もいます。委員には2500円程度の手当が出るそうです。高森町より豊丘村はお金があるんだと思いました。高森町は2300円程度ですから。

 「今の最新の技術でやるんだで、心配せんたって、大丈夫だに」などと、特に残土の置き場の問題を雰囲気やイメージで判断していては困ったことになると思います。心配する人たちは専門家を招いて学習会を開くなどして素人ながらに研究しています。一方、対策委員は、そういう状態です。勉強してません。

 専門家は谷埋め盛土は危険だと言っています。対策委員会は専門家を招いて学習する必要があると思います。対策委員会として事業者との質疑が難しいなら、対策委員側で招いた専門家に対策委員に代わって質問してもらっても良いはずです。

 松川町の福与区は区のリニア工事対策委員会が残土置場に危機感を持って自分たちで学習会を開いて、その結果、町に対して2016年と2017年の2度にわたり寺沢川上流部での残土処分計画の中止の要望を出しています。対策委員会を村や町がつくった場合と「住民の自治組織」がつくった場合の違いだと思います。

 リニアの工事が住民にとって安全に行われるためには、そうでもしないと、リニアの工事関連で重要なことが、住民の目の前から遠のいていってしまいます。どんなに専門的な内容でも、村民を代表する立場にある対策委員の目の前で、あるいは多くの村民の前で公開で、質疑応答がなされるべきです。事務局の今回の発言は民主主義にてらせば極めて卑劣な行為と言えます。村長の道の駅「豊丘マルシェ」の自画自賛の宣伝で始まった今回の対策委員会の締めくくりでした。

報告すべき重大な事項はあった

 進ちょくはほとんどなかったとの報告なのですが、本山生産森林組合関連で過去の理事の選出が不適切だったことを確認する判決が地裁飯田支部で出ました。この裁判の訴状によれば、明らかに刑事事件となるような犯罪的事実(書士法違反、税理士法違反、文書偽造など)があるのにその点がうやむやにされているという問題点があります。誰かが告発すればですが、確実に有罪です。村内の他の森林組合も同様の状況なので、6月12日には県による村内の森林組合関係者対象の説明会があるようです。リニア事業への自治体の協力は全幹法で規定されているとはいっても、地方の地域社会にかなりの負荷のかかるこのような開発行為について、村が毅然として住民の生活防衛の立場に立てないのも、面倒なことはうやむやでも良い、形だけ整えば良いという風潮があるからではないかと思います。

 道路改良工事の行われている戸中では、工事の行われている時間の間、一切の一般の人の進入が禁止になっています。なにか人家のない山中での工事と思っている人もいるかも知れませんが、実は人家があって、工事期間中は別のところに住むよう村から指示され不便な思いをしている方もいます。また、指示に従がわずに自宅で頑張っておられる方もいます。リニアは非常に迷惑な話だと思います。この通行止め場所へ差し掛かるとすべてのクルマはガードマンに停止するよう指示されます。ガードマンの立っている位置の先は二又になっていて一方の道路は通行ができるのですが、二又の手前で停止させます。もう一方の道が通行できることをガードマンが知らされていないのです。

 中部電力は佐原の変電所関係のことは説明しましたが、送電鉄塔の用地のことについてはふれませんでした。2年以上前から、すでに地主さんたちとは交渉を続けているようですが、そのあたりの説明はなかったように思います。中部電力は、戸中ヤードなどへの工事用の電線工事で周辺住民には相当迷惑をかけたはずで、鉄塔の用地の選定が順調に進んでるとは思えません。