更新:2019/01/19

大鹿村でリニア懇談会、1月16日

 大鹿村で、工事用車両が未完成の迂回路を暫定的に使用しています。本当は、迂回路の完成をまって住民に迷惑が生じないように使用すべきですが、工事を急ぐJR東海は一部は生活道路を通行して工事車両を走らせています。

 15日に公民館鹿塩分室で開かれた全村対象の懇談会は、現在1日68台(往復)している工事車両を3月から、暫定ルートのままで314台に増やすので理解を得たいという主旨のもの。JR東海が出席し、村が進行役を務めました。

 迂回路の工事が進まないのは、小渋川沿いの最上流部(南側)の仮橋部分で小渋川左岸の地権者の了解が得られず仮橋がかけれないためです。地権者は、住民と観光客に迷惑がかからないようにいくつかの条件をJR東海に対して提示して、その条件を守るなら土地を貸すと言っています。しかし、JR東海がそれに応じないので交渉がまとまらず、地権者は長野県の公害調査会に調停を申請し受理されました。

 ほんとうなら、住民とJR東海の間で「調整」を行うべき大鹿村がはじめから、住民生活への工事による悪影響について関心を示すべきでした。しかし、あいまいな認識のまま仲立ちをしたことがトラブルの基本的な原因と思われます。懇談会のなかで村側は、生活環境に関する細かい問題点はこのごろになってわかってきたことと漏らしていました。リニア関連で必要な土地について、地権者である住民に、自治体は、使用する方向で検討しようと思うが了承して欲しいと持ちかけるようです。ついては測量をさせて欲しいなどと段取りを進め、結局住民が条件を提示する場をなるべく与えないように、拒否する機会を与えないように、また周辺住民が口を挟めないように行われています。

JR東海が配布した資料

 現在の迂回路の使用状況の説明です。


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 JR東海の言いたいこと。


 迂回路でない生活道路を使うけれどこういう対策をするので理解して欲しいという説明資料。地図の中の緑色の部分に人家があります。また、迂回路は「中央構造線博物館」と「ろくべん館」(民俗資料館)への進入路を共用します。日曜だけでなく土曜日や長期休日は通行を止める、1日のうちでも通行できる時間を制限するなど、地権者が提示している条件は守るのは当たり前だと思います。JR東海はそれはのめないというのだそうです。


 今後の予定。


 『南信州』18日は懇談会について1面トップに載せ、「会の進め方を巡って荒れる場面が何度かあった」と書いています。始まるとすぐに一人の住民が立ち上がって、報道関係者のビデオや写真撮影を冒頭に限るのはおかしいではないかと抗議を始めました。約10分ほども続いたでしょうか。この間、この住民を黙らせることのできない進行役の村やJR東海のやりかたに腹を立てたのか、会場を立ち去る住民が2名ほどいました。抗議の主旨は、これを参考に。


 交渉が上手くいっていない迂回路の地権者も参加していました。村は地権者の出している条件とか経過を村民に知らせることをしていませんでした。最近になって細かい部分が出て来たのでと言い訳をしています。しかし、はじめから住民の立場に立ってJR東海と住民の間にたっておれば、はじめからこれらの細かい部分はわかっていたはずであり、住民を第一に考えるのが村の役目のはずです。地権者がこれまでの経過をこの場で説明してもかまわないといって、説明をしました。説明の資料としてチラシを配布しました。JR東海と村は配らないように求めました。参加した住民たちはとなりどうし手渡しをしました。途中でJR東海の社員が止めさせようとしましたが、最前列から最後列までかなり多数の住民のもとにわたりました。


画面クリックで拡大(拡大画像=PDFは白黒2値に変換)

 地権者は、2018年12月19日に、大鹿村内で、JR東海とのこれまでの交渉の様子と調停申請について、記者会見を行いました。会見の案内と、土地使用の条件についての資料は次のとおり。

JR東海は、われわれの郷土に土足で踏み込んできている

 報道関係の写真撮影やビデオ撮影は冒頭だけとのことでした。これまで私は、説明会に参加すると、日記替わりの覚えとして冒頭部分で写真を撮影していました。今回冒頭部分で撮影していたら、JR東海の社員に写真を撮らないよう指示されました。これまで冒頭部分で撮影を制止されたことが全くなかったのでムッときました。撮影するなということは、すでに撮影した画像を消せという意味かと聞いてやりました。すると、あいかわらずワンパターンで写真を撮らないで下さいと繰り返すばかりです。そこで私は、会場の外へでてお話をしましょうと、くだんの社員を会場外へ連れ出しました。そとで、報道機関は良いが個人はダメということは、報道機関はJR東海が報道内容を規制できるけれど、個人はできないということだろうから、JR東海は言論統制をしていることになるのではないか、という意味のことを申し上げて席に戻りました。

 JR東海はメモ的にパワーポイント画面を写すことも止めさせます。今の時代に何やってるのと言いたいですね。このような説明会をひらくのは、住民に情報を知らしめるべきという国家の指示があるからで、一方、住民には知る権利がありますから、だれであれ、写真をとる、録画をすることは自由のはずです。住民、国民がメモ的に写真をとることを禁止できる法律的な裏付けがあるのでしょうか。また、会場は公民館や自治体の住民のための施設で行われています。ので、私は撮るなというのは、すでにとった画像を消せという意味かと問うのです。たいていそこまでは言いませんね。つまり強制できる裏付けはないのではないかと思います。JR東海は、われわれの郷土に土足で踏み込んできているのですよ。

 この懇談会では結果的に「さくら」じゃないのと思えるような発言をされた住民の方がいました。発言は迂回路に関するものに限ってとか、時間は予定通り切りあげてねとか、道が良くなって感謝しておりますとかね。いつもと同じ人だなと思いました。そして、お名前もお仕事も記憶しております。なんならここに書いても良いのですが、まあそんな品のないことはやめましょう。

 というようにですね、JR東海さんや大鹿村さんが繰り返し言っている理由、忌憚ないご意見をいただくため、自由に発言できるために、ビデオや写真の撮影禁止というのは意味がないのではないかと思います。人間には記憶というものがあるのでね、撮影がなくても、こういう会場で発言すること自体、ある程度の気力や気合がいるのです。相手にする住民の数が圧倒的に多いJR東海は、うるさいやつはだれか記録するのに、録音と撮影は常にやっています。後ろめたい意図でもって撮影しているから、住民側がおこなうのも、JR東海側になにか悪い意図があってやっていると思うのでしょうね。ご心労からか頭頂部がちょっと薄くなり始めた長野県担当部長さんのお辞儀をした写真を撮りたかったのですが、そういういたずら心がでてきたところでちゃちゃがはいりました。

 すこしまえに、工事の差し止めの訴訟を起こした方が、会場入り口でチラシを配っていました。また発言もされました。

 今回、質問への回答を主にやっていた大鹿分室長の太田垣さん。なにかしどろもどろの感じでした。彼が、以前、飯田の環境保全所長だったとき、上郷公民館の説明会で、地震の時のトンネルの安全性について問われて、中越地震で上越新幹線のトンネルでは覆工コンクリートが少し落ちたくらいで、地震の影響はほとんど受けなかったと説明をしたのを覚えています(2014年12月10日、上郷公民館の事業説明会)。これは、全くのウソで、土木学会がビックリして調査団を派遣するほどの被害を受けていました。このことを覚えていたので、彼の説明はなにか中身のないものに思えましたね。

 報道としては:

 そうそう、来年度から保育園に通うお子さんがいるお母さんが、保育園周辺は大丈夫だろうかと質問しました。村は保育園を避けるための迂回ルートと説明しました。しかし、保育園周辺を工事車両が通らないとしても、子供さんたちの自宅が運行ルート近くにある可能性もあるわけですから、お母さんとしては心配でしょう。

 最後の村長の発言の中だったと思います。理解していただける方の意見が聞けなかったみたいなことをおっしゃいました。やっぱり「さくら」がいたんだと思いましたね。

 村民の中で対立が生まれることを心配される意見もありました。しかし、意見が対立するのは別に問題じゃないと思います。基本的には。ちゃんと話し合いができるなら・・・。

 そういえば、懇談会は村民と関係者を対象にしていると司会者はいっていました。関係者って?

 JR東海の工事日程のために、地元の住民の生活が制限されたり、環境が悪化するのはおかしなことです。早く終わらせるためにという人もいます。我慢をすれば2027年までに工事が終わると、彼らは確信をもって言えるのでしょうか?

補足 2019/01/21

 南アルプスモニターに懇談会のレポートが掲載されました。(見つからない場合は、開いたページ内で、"JR工事車両、生活道314台通行説明会" で検索。エントリーが二つあります。エントリーごとにリンクがはれるようになっているといいんですが。)