更新:2019/09/19 | 2019/09/20 | 2019/09/21

北条自治振興センターでリニア駅周辺整備基本設計案の説明会


 9月18日夜、リニア駅の建設予定地、飯田市上郷飯沼の北条自治振興センターで飯田市による「リニア駅周辺整備基本設計(案)と飯田市都市計画(案)に係る住民説明会」がありました。飯田市は、リニア駅周辺整備基本設計(案)と飯田市都市計画(案)について説明をするので、まずはこの件についての質疑をして、リニア関連の「その他」のことについては最後に別に時間をとると説明しました。

 住民からはいろいろな質問や意見がでました。大前提になる、立ち退きと移転先の問題が解決しないのに、駅周辺整備のデザインの説明をするという、飯田市の姿勢について厳しい発言が度々くりかえされました。

 飯田市は、この日、市議会リニア推進特別委員会(井坪隆委員長)で、リニア中央新幹線県内駅周辺整備の基本設計案について、初期整備費91億円の内訳を説明しました(『南信州』18日 =紙面19日。 『南信州』は市内中心部では19日付が18日夕方配達)。費用についての説明は、下のように簡単なもの。内訳はありません。


 住民から質問があって、初めて答えるというありさま、それも、分かりにくい説明で。市議会リニア推進特別委員会の委員長の井坪隆市議は上郷地区の選出。この説明会にも出席していましたが、黙っていました。このことに限らず、北条について、リニア関連でなにかあると、まず新聞にでてから、そのあとで飯田市から説明があるのはおかしいのではないかとの指摘がありました。

 『信濃』は、基本設計が公表されたことを伝えるニュースのなかで、整備する駐車場の収容台数について変更があったと書きませんでした。その後、『信毎』もふくめ各紙は、750台が500台に変更になったと書いていました。

 配布された「飯田・リニア駅前空間デザインノート(案)」には駐車場の収容台数は書かれていないし、飯田市職員が説明のなかで言っている南側の駐車場がどの場所なのかも不明確でした。

 駐車場の台数についての質問に答えて、示したのが、同じく配布された「都市計画(案)」のこの図(別の参考資料4と同じもの)。「約370台」という数字があります。ニュース報道で750台が500台になったと聞いていたので、当然住民から質問が出ました。

 飯田市の説明は、370台は都市計画案の範囲での整備対象の分の数字で、南側(前述)に180台で550台になるという。では、750から500に減らしのたのは、乗降客数の予想を考え直したからなのかと住民がただすと、750という数字は変わっていないという。報道各社に対しての説明は、750台を500台に減じたと記者さんたちも誤解するような内容の説明をしていたことになると思います。

 整備した施設の維持費に年間約6500万円かかるそうです。回収の見込みは?という住民の質問に対して、ようは、いろいろ考えているというだけで、具体的な数字を示さない。『南信州』がすでに報道しているのに。担当の市職員は住民に理解をしてもらおうという意識がないように思えました。

 移転先の代替地の価格と、土地の買い上げの値段についての質問について、差がゼロになるような工夫を飯田市に求めるのは普通と思うのですが、肝心の代替地の価格について明確な方針が出せない。これでは、路線、駅前整備の土地を取得することは到底不可能だと思いました。

 飯田線の元善光寺駅と伊那上郷駅間に新たな乗換駅を請願駅として設置するという計画については、住民の元善光寺駅からシャトルバスを運行するという代替案がだされているのに、いまだに、線型、勾配など技術的な面もふくめどんなことができるのか検討しているところと答えるだけでした。

 先祖伝来の大事に思っている土地、それぞれ自ら生活設計し税金を支払っている市民の土地を取り上げようとしているのに、このような曖昧な事業計画、曖昧な方針、不明確な説明の飯田市に、進んで協力しようと思う市民はいないと思います。飯田市は住民に寄り添うというが、全く寄り添っていないという声もありました。市がきちんとした方針を打ち出せないのは、大元のリニア計画に無理・無謀があるからだと思います。

 住民は、利用客1日6800人という数字にこだわっています。それは、各地で新幹線に期待してアテが外れたという例を良く知っているからです。この点についても質問がありましたが、算出方法をきちんと説明するなら、口頭でなく、ややこしい話なのですから、文書にして示しべきですが、していません。

 設計案について、将来の状況に応じて「フレキシブル」に変更できるようにというような説明もありました。が、これは、明確なビジョンとか整備による効果への見通しがないということだといえます。

 ある方が、立ち退かないつもりだが、強制執行はあるのかと質問。細田部長は、この点について何も返答しませんでした。

 飯田市の職員の説明は、はしばしに、自分たちの理解や表現の仕方が、住民にも通じると思っているところが見られ、これではね、と思いました。飯田市の駅周辺整備への批判的な意見だけが聞かれました。説明会をしたから、地元の住民は理解したと思ってもらっては困ると、住民は飯田市にクギをさしました。

座光寺公民館の説明会、9月19日


 座光寺公民館で駅周辺整備の基本設計の最終案についての住民説明会が19時からありました。

 飯田市による説明内容は、北条自治振興センターの説明会と基本的に同じでした。質疑では、地元の方からは、駅周辺施設の維持費についての心配の声、共和地区が候補になっている広域連合の新施設(アリーナ、コンベンションなど)について早く結論をという意見がでただけでした。新施設については造る造らないも含めて検討を今年から始めたばかりと細田部長が答えています。路線の用地の地権者の方も出席しておられましたが、北条の雰囲気とはちがって、事業に対する反対の意見は地元の方からは全く出ませんでした。出席人数は北条より多かったようです。北条同様に、井坪市議、湯沢議長が出席していました。北条では9時半過ぎにやっと終了しましたが、こちらは1時間ほどで早々に終了しました。

段階的に造る大屋根

 デザインノートにある大屋根は、全部で1.6ヘクタールですが、まず1.1ヘクタールを造って、様子をみて将来的に1.6ヘクタールにすると飯田市は説明しました。デザインノートは資料として配布されていました。スライド画面かデザインノートを見ながら説明を聞いて欲しいということでした。

 段階的に造るので、図面では色分けがしてあるというのですが、デザインノートでは色の違いが判りません。北条では結局どこが最初に造る場所かわかりませんでした。座光寺でたまたまデザインノートから目をはなし、スライド画面をみたので、ようやくその場所がわかりました。茶色の部分が最初に造る1.1ヘクタール、紫の部分が後で造るかも知れない0.5ヘクタール。

 説明のための資料の提示の仕方が不親切です。

新聞記事と説明会とどっちがわかりやすいか?

 9月18日、飯田市議会のリニア推進特別委員会で飯田市はリニア中央新幹線県内駅周辺整備(6・5ヘクタール)の基本設計案に関し、初期整備費91億円の内訳を明らかにしました。

『南信州』18日 紙面19日 "市議会リニア対策委 初期整備の内訳明らかに 県内駅周辺整備 実質負担額は39億円"
『信毎』19日 "飯田市 実質負担39億円 県内駅周辺整備 基金活用の方針"

 この日夜行われた北条地区の説明会では「内訳」については事実上説明はありませんでした。住民からの質問にこたえ、口頭で分かりにくい説明をしただけでした。

 北条、座光寺の2回の説明会を通じて、『南信州』、『信毎』の見出しにあるような39億という数字も住民の質問に答えて説明するようなことで、2紙の記事を読んだ方が要点は明確にわかるということでは、説明会の説明の仕方や配布資料の内容は、お粗末すぎると思いました。説明会を聞いた限りでは91億円の方が印象が強く、無駄な金を使う事業と思わせる効果はあったと思います。39億だって他に有効な使い道がいくらでもあると思いますが。

大事な土地を譲るのだから…

 『中日』記事 "やまびこ"。大事な土地を譲るのだから無駄にしないように願うという気持ちは理解しやすいと思いますが。しかし、無駄に使うことが明らかな場合、ちゃんと有効に使えるのかはっきりした計画が示されていない場合は、譲らなくても良い。ということを、新聞は書かなければいけない。それが新聞の役目だと思います。

 駅前整備について、飯田市職員のテレンクレンした説明は、こうやれば良いという明確な見通しがなく、手探りでやっていることのあらわれ。地方の行政はそんな事業に手を出すべきではない(参考 行政は地域活性化に手を出すな)。ということを新聞は事実を示しながら書かなければいけない。

『南信州』の記事

 20日付『南信州』(紙面)が北条地区の説明会について記事 "リニア駅周辺整備 地元から「説明不足」の声 上郷対象に住民説明会" を掲載。