リニア駅周辺整備基本設計「デザインノート(案)」に対する意見書

 10月30日、飯田市の "リニア駅周辺整備基本設計「デザインノート(案)" に以下の意見書をリニア推進部に持参、提出しておきました。なお、飯田市のリニア推進部のカウンターに、まだ、リニアのフローティングモデルが置いてあります。ちょっと触れるとユラユラと揺れ続けます。「磁気ばね」で浮いて走行する場合の不安定さを実感できるので是非一見を。

リニア駅周辺整備基本設計デザインノート(案)について

○木製の大屋根について

 駅利用者が駐車場やバス停などから駅入り口までの最低最低限の経路だけにできるだけ高さの低い屋根をかける方が良いと思います。風雨が強い場合大屋根では、屋根の高さが高いので、濡れてしまう部分が多くなり通路として役立たないと思われます。材料も鉄パイプなど、出来る限りコストや維持費用の低廉なものを選ぶ方が良いと思います。p12の写真に示される通り、駅舎本体のデザインが決まらい時点で全体のデザイン性まで考慮するのは、JR東海に、このデザインで駅舎を造れと要求できる意志がないなら、無意味だと思います。大屋根に限らず、デザイン全体について言えることです。

○市民の意見の反映について

 ワークショップも2回ほど見させていただきました。ワークショップに参加されている方たちは、市民だけでなく、他地域の方も多数おられたようです。地元の飯沼地区の方の参加が極めて少ないという印象を受けました。一方、駅前周辺整備について、飯沼地区の説明会では、飯田市が駅周辺整備計画について説明しようとして、住民の方たちから、それより前に解決すべき問題があるのではないかという指摘で、説明できなかったことがありました。立ち退かれる方、土地を提供される方たちが、納得できるようなリニア計画、駅前周辺整備計画でなければ、本来、市民の意見を反映できるものではありません。移転対象者が参画できる雰囲気になっていない時点で検討された駅前デザインは市民全体が納得できるのものにはなり得ません。

○全般的な意見として

 現在、リニアの工事は静岡県で大井川の減水問題で着工できずにいます。長野県内においても、トンネル残土の処分先がほとんど確保できない状況です。水の問題、残土処分地の問題は、環境影響評価についての環境大臣意見でも指摘されていた問題です。異例の厳しさと分量の環境大臣意見書は、「本事業の実施に伴う環境影響は枚挙に遑がない。技術の発展の歴史を俯瞰すれば、環境の保全を内部化しない技術に未来はない」とまで指摘していました。すなわち、超電導リニアが不完全なシステムゆえの極めて無謀な事業だという指摘です。このことが、今まさに静岡県で明らかになりつつあるといえます。飯田市は、後戻りのできる今の段階で、リニアに関連するさまざまの事業のなかで、リニア事業が中断した場合に取り返しがつかなくなる事態を避けるような施策を考えるべき段階だと思います。駅前周辺整備などは、駅ができてから考えれば良いことです。