更新:2020/01/08

リニア残土処分先、見込みは絶望的

『信毎』6日の1面トップ記事

 『信毎』(信濃毎日新聞)のネット版に、リニア残土処分候補地 県の再募集に8団体から情報(1月6日9時14分)という記事が掲載されました。2018年の12月に、長野県はリニアの残土の処分先の情報提供を自治体や公的機関などに対して再募集しました。それに対してどの程度の情報が寄せられたか長野県に情報公開を求めた結果と、処分先が確定した残土の量、見込みのある量をたしても発生土量の6割程度にしかならないという内容。この記事は紙面では、6日の1面トップ記事でした。

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『信濃毎日新聞』2020年1月6日、1面

 紙面には、残土の処分先の候補地の一覧表がのっています。当サイトは、昨年1月18日に同じような一覧表を掲載しています。

 『信毎』は、現時点で、これまでに決定した処分地は大鹿村と喬木村の計4カ所で、受け入れ量は20.5万立法メートルにとどまる、 と書いています。2019年1月の上記の一覧では、確定した処分先は、大鹿村の3か所、13万5千立米としています。背景が緑色のところです。一覧には、喬木村堰下について、「ガイドウェイ組立ヤード用地の盛土造成に使用。2019年1月22日環境保全計画公表。」としましたが、工事が始まっていなかったので、背景色は白にしました。つまり、確定した処分先は、昨年1月から進展がないということです。

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喬木村堰下、ガイドウェイ組立ヤード用地。山積みになっているのは、水田からはぎ取った耕土(有機物を含む表土)。これらの耕土をどこかへ(大鹿村鹿塩儀内路など)片付けてから、水路のマンホールの高さまでトンネル残土で埋め立てる予定。工程は遅れが出始めている。

 昨年1月の一覧との違いは、地域として新たに、駒ヶ根市の中沢の再開発で20万立米、伊那市で市道改良、上郷丹保北条の代替地造成が出ていること。ただし、道路改良などの公共事業での利用については、2014年7月の集約でも、飯田・下伊那地区以外でもあがっていました。また、喬木村伊久間の工業団地、高森町の「川の駅」(※)、豊丘村大柏のJR東海の電力変換施設の造成用などが落ちている点。

※ 「川の駅」予定地一帯はすでに、松川ダムから運び出した堆砂の置場として、かなりの部分が埋まっています。

残土の谷埋め、情報公開すれば住民が騒ぐ

 『信毎』は2面の記事「県、候補地の多く公表せず 残土処分 住民の不信招くおそれ」で、2014年7月の公表と違って、候補地や受け入れ量を公表していない点について、住民の不信を招きかねない と指摘。また、2014年の場合は谷埋めで50~100万立米以上の大規模なものがあったけれど、今回は候補にあがった 各事業の活用土量は小規模と見られるが、安全対策や後利用が確実なインフラ整備への活用を検討する自治体が目立った としています。

 ざっといえば、2014年に公表された処分先が大規模に効率よく始末できる場所のすべてであって、これからは、そういう場所はでてこないということだと思います。2014年公表の候補地(※)うち、642万立米分が住民の反発でボツになりました。

※ 新聞等には、自治体、機関ごとの受け入れ量として、10万立米未満、10万以上~100万未満、100万以上の3つのランクを示しただけでした。当方が情報公開で入手した資料には、会議出席者のメモ書きがあります。しかし、実際には620万立米だった松川町の受け入れ量を「110?」としてあったりで、このメモ書きはちょっとあてにならないかも知れません。

 なお、記事は2014年の公表について、4市町村が100万立方メートル以上の「くぼ地の埋め立て」を候補地として挙げた とわざわざ書いています。2014年に阿南町は谷に埋めると情報提供しましたが、県の公表では「くぼ地」に直してありました。

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"リニア中央新幹線建設工事に関わる建設発生土の活用先調べ(第1回)" より

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"リニア中央新幹線建設発生土 市町村等から提案のあつた活用の可能性がある事業リスト 長野県リニア推進振興室" より

 当時の情報提供の書式には、明記はしていませんでしたが、谷や沢の場合は「くぼ地」と記入するように誘導しようとする意図が見られました(※1、2)。洞とか沢とか谷は「くぼ地」とは地形としては別のものです。候補地として上がっていた、松川町の中山、つつじ山線沿いの谷、本洞、豊丘村の本山(ジンガ洞)、南の沢、牛草沢、下條村の火沢などはすべて、谷であって、「くぼ地」ではありません。しかし、長野県はすべて「くぼ地」であるとして公表していました。谷に盛土をする危険や防災上の不都合を住民の多くが認識しているし、長野県の各部署にも懸念があったからだと思います。しかし、いかにも稚拙な小細工だったと思います。

 第1回の活用、処分先の候補地の照会(上記※1)の留意事項は:

5 留意事項
(1)この照会は、あくまでも搬出先(方面)や土量のおおまかな傾向を把握することが目的であり回答していただく内容は担当者による推定で構いません。
(2)あくまでも自治体内部での検討にととめていただき、外部への照会や調整は必要ありません。

 第2回の活用、処分先の候補地の照会(上記※2)留意事項は:

5 留意事項
(1)この照会は発生上の活用先について、JR東海との調整を行う候補地を見出すことを目的としています。そのため、公共事業であれば事業の日途が立っている筒所、埋立地であれば地元の概ねの合意が得られている箇所(地 元から要望のある箇所等)について回答してください
(2)回答結果については WG内 での公開を前提とします。また、回答のあった市町村数と活用予定土量の総数については、対外的な公開を前提とします。

 第1回目では、埋立地について、「回答していただく内容は担当者による推定で構いません」とか「あくまでも自治体内部での検討にととめていただき、外部への照会や調整は必要ありません」、とできるだけ内々にやってねと、だのに、第2回では、「埋立地であれば地元の概ねの合意が得られている箇所(地元から要望のある箇所)」という表現がなにか微妙ですね。地元が要望する理由は、付随する道路整備が目的の場合がほとんどなのです。県民の安全に関わる問題なのに、県には県民の生命財産を守る、住民に将来の危険を知ってもらおうという意識がないように思えます。642万立米をボツにしたのは住民の反発です。長野県が情報をなるべく出したくないのは、住民の反発を避けるためとしか思えません。