更新:2020/06/05

(予告編) 長野県森林審議会保全部会、6月9日

 長野県森林審議会保全部会が飯田市の県南信消費者センターで午後1時30分から一般公開で開催予定。ただし傍聴多数の場合は感染予防のため入場制限も。審議内容は本山の残土置場の保安林解除について。JR東海は5月12日に保安林解除の申請をした(『信毎』3日、4面 "豊丘の残土処分地保安林解除審議へ 9日 飯田で県審議会部会")

 『南信州』4日1面 "本山の保安林解除を審議 豊丘残土置き場計画地 9日に飯田で森林審議会" によれば、当日は委員の有識者5人が現地を訪れ、計画の安全性や環境への影響を調査したうえで解除が適切かを審議する…審議会が解除は適切と判断した場合、県は意見書を付けて国に申請書を提出する。なお、県によれば説明のためにJR東海が現地に同行するそうです。

 以前(1月24日)、林務課で話を聞いた範囲では県に申請が出ると2カ月内に林野庁に書類をあげるという決まりがあるとのこと。JR東海と県の林務課の事前の協議が始まったのは半年以上前でした。豊丘村が保安林解除申請に向けた態度を固めたのは2019年7月25日のリニア対策員会だったので、約1年たっても残土を置けるかどうかは決まっていません。リニア関連の保安林解除について長野県が森林審議会保全部会を公開で行うのは異例だと思います。やはり、治山治水政策上、前代未聞、想定外の130万立米もの莫大な谷埋め盛土への懸念を長野県が持っているということだと思います。

 組合の不適切な運営が理由でしたが、長野県は本山への残土受け入れについて2017年5月にストップをかけました。その後、組合幹部と豊丘村は生産森林組合を地縁団体組織に改組して、実質上もっと以前の本山更生会(入会権組合)時代の運営方法に戻して再度受け入れを決めた経緯があります。

 今、静岡県がやっているのは、河川管理者として、制度に基づいて、大井川の上流部の下のトンネル工事について許可するかどうか検討しているわけです。リニア新幹線建設への賛成反対とは別次元の話です。

 候補地は虻川の支流の上流。盛土が崩壊した場合に備え、虻川本流の対策も必要です。下流域住民は土石流が起きた場合の浸水等の被害を心配しています。長野県の森林審議会保全部会も、静岡県同様に科学的な観点に基づいて公正に審議をしていただきたいと思います。

 この候補地は、2013年頃には組合として受け入れの意向は明確だったのに、7年以上経っても確実になっていない。さらに林野庁の審査もある。このように、大規模な処分地がJR東海にとって確実なものになるには、そうとうの時間がかかるのに、工事申請の段階で、長野県内では「候補地」さえ何も決まったいなかった。JR東海の建設計画は杜撰で、無責任だったといえます。上手くいかないのが当たり前。国交大臣が全幹法で認可した、「国策」であっても、別の細かな規制や許可をひとつひとつクリアしなければ建設はできません。「国策」(または、「準国策」)とはいっても、そこが戦前と違うところです。

(補足 2020/06/06) 長野県森林審議会

 委員の信大名誉教授・鈴木啓助さんの気水圏研究室信州大学中山間地域プロジェクトにある信大名誉教授・北原曜さんのページ