2020年6月9日(c)のつづき

 長野県森林審議会保全部会が本山(ジンガ洞)の残土置場について十分な対策が取られているとして保安林の解除は適切と判断。保全部会の5人の委員の内3名が出席。午前中、委員は現地を視察。審議時間は1時間半弱。

 工事個所以外に下流域や虻川本流への治水対策が必要との声が地元から出ていましたが、審議の中でその点にふれた場面はありませんでした。

 審議会では委員の質問に対して、JR東海は、即座に回答できなかったり、質問に対して回答がかみ合っていないこともありました。現状において、表流水で川底から地下に浸透する分の状況を把握しているかとの問いに、浸透しない想定で設計をしたと答えていました。委員は造成工事のなかで、既存の堰堤を一部撤去する前に堆積土砂を浚渫するときに濁水が出るはずで、その対策について質問。JR東海はその時になって適切な対策をすると答えています。土中の水を排水するための埋設管が詰まった場合の対策についてもJR東海は委員の疑問に十分に応えているようには思えませんでした。静岡県の中央新幹線環境保全連絡会議の委員に比べると、突っ込みが、あっさりしているという印象を受けました。JR東海の説明は静岡県では通らないだろうと思いました。

 一般の傍聴は18名。報道はSBC、ABN、信毎、朝日、南信州など。

 公益性について説明する場面で事務局担当者は鉄道事業法を挙げていましたが、リニアは鉄道事業法ではなく全幹法に基づいて認可を受けました(*)。JR東海は、事業の実現可能性(正当性)について、国交大臣の認可の書類と豊丘村村長の同意書を示しましたが、大事な文書が落ちていました。それは静岡県知事の大井川の河川使用許可です。

* 保安林の指定の解除については、鉄道事業者の行う事業だから適用できるという決まりがあるようです。

 委員の内2名は信大農学部の先生です。

 私は、現地へは、何回か行っていますが、非常に険しい部分もあり、安全性について疑問があります。また、谷を埋め戻すということは自然の摂理に逆することですから、水源涵養という点でマズイという印象は否めません。

 県知事や県の環境保護の姿勢に一貫したものがない。もちろん国にも。環境省の権限を最大に強化しないと国破れ山河滅びることになる。また「専門家」とはいったいなんなんだと暗澹たる気分になりますね。とりあえずの報告です。

 審議会終了後、傍聴者の中には、2027年の開業は無理だろうし、そうなれば計画がそのまま続くのか、頓挫した時にどうするのかという声もありました。即林野庁へ申請書を提出ではなくあくまで答申によって長野県がどう判断するかです。県によればそれまでに議事録を公開するとのことです。

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