更新:2021/05/27

豊丘村のリニア対策委員会

 豊丘村のリニア対策委員会が24日にあったそうです。今回は傍聴にいけませんでした。

 伊那山地トンネルの掘削開始について、戸中斜坑が6月下旬、坂島斜坑が7月中旬とJR東海が発表。6月下旬という時期が妙にビミョーな感じがします。整備が始まったのが、ずっと前だった坂島のほうが1月遅れというのもビミョー。

 坂島は大鹿(東京方面)に向かって一方向にだけ掘ります。戸中は、伊那山地トンネルの豊丘村内の部分のちょうど途中にあります。もとは、伊那山地トンネルの名古屋方面側の本坑口からも掘削する計画でした。つまり、3か所の坑口が計画されていました。しかし、本坑口付近では工事ヤードが造れないので、付近で斜坑口と工事ヤードの場所を検討したようですが、結局確保できず、戸中から両方向(東京と名古屋の両方面)に掘削するように変更しました。

 事前の調査と計画が不十分だったうえに、地元(飯田市または広域連合の)の要求に応じて、配慮書段階(2008年)に決めたルートを変更したのが原因だと思います。距離にして2㎞程度ですが、こういうルート変更は沿線の他の地域ではたぶんなかったと思います。

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(記号と坑口の名前の照合は長野県の作成した資料による。赤矢印は掘削方向。図の右が東京、左が名古屋方向。)

 トンネル残土の処分について『南信州』は次のように書いています。

 戸中非常口から出る残土のうち26万立法メートルは隣接する戸中残土置場で受け入れる。残る役43万立方メートルと坂島非常口から出る役87万立方メートルは、坂島工区の南側に位置する本山残土置き場に運ぶ。

 『中日』は:

 JR東海によると、坂島非常口から掘り進める坂島工区で100万立方メートル、戸中非常口から掘り進める戸中工区では90万立方メートルの残土が出る見込み。本山の残土置場(容量130万立方メートル)と戸中非常口近くの残土置場(同26万立方メートル)に置くほか、村道改良に活用する。
 同じく戸中非常口から掘削する壬生沢工区の残土量は明らかにしていない。

 『信毎』は残土量については何も触れていません。

 環境影響評価書(2014年、平成26年、)評価書資料編18 廃棄物等によれば、豊丘村内の坑口の発生残土は、H(坂島)が100万立米、I(戸中)が55万立米、K(本坑口)が70万立米です。本坑口からの掘削は中止となり、戸中から両方向に掘削するように変更されたので、戸中の残土は125万立米のはず。

 『南信州』の書き方だと、戸中から出る残土は69万立米。『中日』は90万立米。どちらも数字がおかしいです。さらに、『中日』は「戸中非常口から掘削する壬生沢工区の残土量は明らかにしていない」と書いています。そりゃ明らかにしてないかも知れないですが、計算すれば分かることでもあるわけです。リニア対策委員会の中でだされた質問なのか、あるいは記者さんが直接に取材で質問したのに、JR東海が答えなかったなら、是非書くべきことですが、そういう意味なんでしょうかと、思います。

 戸中坑口からの掘削は、大鹿方向は上り勾配ですが、名古屋方面は下りです。もともとの計画だった上り勾配で掘るのとだいぶ見当が違って来るはずです。戸中斜坑が本線部分と接続する付近ではトンネルはほぼ虻川の地下を川に沿って掘削します。大鹿方面はまだ良いのですが、下り勾配の名古屋方面での出水があれば工事は手間取るはずです。いずれの記事もこの点について書いていません。

 これらの疑問は、ある程度リニアに関心のある住民なだれも感じると思います。『南信州』 と『中日』の記事は、なんか中途半端だと思います。

参考資料