更新:2021/06/09、06/11 一部改訂、06/21 訂正

どこまで続くぬかるみぞ

 「下市田ガイドウェイヤード説明会、6月7日(出砂原地区館)」への(補足)備忘として:

説明に具体性がない

 4日にも横断側溝について質問があった点について、説明会の始まる前、区の役員さん、元役員さんとの雑談の中で話題になりました。区の役員さんは、町のこれまでの説明の仕方について、どこにどういうもができるのかという具体的なものが示されてきていないと指摘していました。4日に横断側溝の騒音について質問された方も、工事がはじまったらこんなところに側溝を造ったといっていたことからしても、住民に影響のありそうなことという点についての配慮が足りないと思いました。そのとき以前配布された設計図を改めて見ましたが、暗渠になっている部分と横断側溝になってる部分の違いがないように思いました。

町では、運搬期間は予想できない?

 (1)1日最大150台という数字の算出のしかたについてと、(2)15万立米を運ぶために「のべ」何台のダンプカーが必要なのといった数字、工期から1日平均の台数が示されると実感がわくが、と質問しました。産業課長と担当職員が資料を調べ始めると、町長が、(1)については手配できる車の数などから出している、工期については、(運搬期間のつもりで聞いたのですが工期と聞いたのがまずかったのか、工期を先に決めてから決まるのものではないので…などいいながら、「のべ」台数については、そらで約37000台とのお答えでした。具体的に説明ができていませんが、彼自身がざっとしか把握していないからで、本来なら産業課長なり担当者の答えを待つべきでしたね。町役場として、なかなかあいまいなことしか分かっていないと言う印象です。そして、これまでそれで通用してきた。(3)大鹿から下市田までのダンプカーの所要時間については50分だそうです。ダンプカー1台に約4立米の残土をのせるということになります。残土の比重を2.5と想定しているわけです。運搬期間は配布資料によれば、今年の7月から来年の9月までなので最大15か月。365日+31(7月)+31(8月)+30(9月)-52(日曜日)-13(日曜日)-15(盆暮)≒377。37000÷377≒98台/1日。本当にそんなことができるのかなと思いますね。蛇足ですがこの配布資料、期間を示す目盛の幅が一緒なのに2021年度と2022年度で実際の期間が3倍も違っています。グラフ化する意味がないと思います。

予定通りにはいかないよ

 飯田市が松川町のリニア建設工事対策員会に対して、移転代替地への残土搬入車両の通行について2020年1月29日に説明しています(*)。2020年3月から9月までに、3万5千立米を運ぶ予定、1日片道最大100台が通行と説明。2020年6月26日には運搬期間を2020年5月から2021年1月に変更(**)。2020年12月25日には運搬期間を2020年5月から2021年6月に変更(***)しています。小渋川河川敷内道路の利用可能時期が2か月遅れたため運搬開始が2か月遅れたことは別として、2020年の7月豪雨の影響で2020年7月から11月までの5か月で運行台数が半減、小渋川河川敷内道路の復旧に残土を使ったことで運搬期間が伸びたとしています。河川敷内の仮設道路は小渋線の改良が完了すれば問題ないとしても、運行経路の被災が今後も全くないとは言えません。さて、新聞報道等で残土置き場が足りないと報道されるように、残土はうなるほどあるはずなんです。河川敷内道路の補修に少々使ったことがなぜ運搬期間が延長になる理由となるんでしょうか。トンネルの掘削が順調に進んでいれば、こんなことが理由に上がるはずはないと思うんですよ。

* 飯⽥市代替地整備に伴うトンネル発生土の活用について(松川町リニア中央新幹線建設⼯事対策委員会令和2年1月29日(水))

** 飯⽥市代替地整備に伴うトンネル発⽣⼟の活⽤について (第10回松川町リニア中央新幹線建設⼯事対策委員会令和2年6⽉26⽇(金))

*** 飯田市代替地整備に伴うトンネル発生土の活用について(第12回松川町リニア中央新幹線建設工事対策委員会令和2年12月25日(金))

 小渋川斜坑から出た残土で、始末のついた分は、大鹿村内の「ろくべん館」そばの用地造成に5千立米、大鹿村総合グランドの嵩上げ工事に10万立米、喬木村伊久間の代替地造成に3万5千立米、飯田市丹保の代替地造成に3万5千立米、の合計が17万5千立米、それと河川敷道路の修復などです。現在、小渋川斜坑そばの15万立米置ける仮置き場はいくらかの要対策土がある以外はほとんど空です。

 さて、小渋川斜坑からいままでに一体どれぐらいの量の残土が出てきたのでしょうか? 伊那市への28万立米の運搬計画もあるし、ガイドウェイヤードの造成工事がいつまで続くかは、これからのトンネルの掘削のペースとも関係してくると思います。

 今年3月下旬ころまでに小渋川斜坑口から出された残土総量を推測して見ました。だいたい25万立米程度かと思います。

 飯田市の移転代替地へ残土の搬入が始まったのが2020年の5月11日。喬木の伊久間への運搬は2020年の12月から。2019年8月23日に小渋川斜坑の先の先進坑の掘削が始まりました。以後だいたい最大で1日約250立米程度の残土が出されていると思います。ただし、2020年の7月~9月の約3か月と2020年12月11日~2021年3月24日の約3か月はほぼ残土が出ていません。実績としては、おそらく、順調に掘削が進んでいる時期であれば、平均で1日に280~290立米程度の残土が出てきたはずです。これは1日に2~3m程度掘り進んだ場合になると思います。ダンプカーにすれば70~73台分です(補足)。5月下旬ころ、坑口そばの仮置き場のストックはゼロだったと思います。去年の12月から今年の3月下旬までの間ほぼ掘削は進んでいなかったわけなので、7月からさて、飯田市の分が6月に終わったとしても、高森の分、どうやって1日平均98台分の残土を確保するんでしょうか? まして1日150台はあり得ないような気もします。青木川斜坑からの残土をもって来るにしても、掘削ペースは1か月当り36m程度ですから、うなるほどあるという状況ではないと思います。

 ともかく、運搬期間は伸びる可能性がある。ルート周辺の住民は、私もそうなんですが、覚悟すべきですね。公共事業としても、工事の進ちょくは思うようにはいかない。

目をさますことなき無責任

 高森町は産業用地、喬木村は商業施設として後利用、伊那市は工業団地の拡張、といった最終目的。これは、ひょっとすると空き地を造る可能性もあるわけです。市町村役場はそう思っていなくても。リニアを見据えてなんて軽く言ってのけるお役所の発想、約10年先の産業のあり方の見通しがつくのか。

 松川町でこのページをご覧のかた、伊那市へのダンプカーも高森へのダンプカーも松川町を通るので、そちら様のご負担が大きくなります。高森町がお願いに行くと思いますが、松川町民として遠慮のない判断をしてください。中川村の皆さまにも以下同文。

補足1

訂正・補足 2021/06/21

  以前トンネルの完成後の断面積から掘削断面積を推定して1日当たりの残土の発生量を計算していましたが、静岡県の大井川の水問題で国交省が設置した有識者会議にJR東海が示した資料の中に各トンネルの掘削断面積を示した図がありました。「第11回リニア中央新幹線静岡工区 有識者会議 配布資料」の「【資料2(別冊)】別冊データ(JR東海資料)」の「1 各トンネルの掘削断面」です。これによれば、本坑は約100平米、斜坑(千石・西俣の例)が約80平米、先進坑が35平米です。

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 小渋川斜坑の先の先進坑について。この先進坑は、2019年8月23日掘削開始で2021年3月24日までに640mを掘削しました。日曜日、年末年始、盆休みなど差し引き、この期間の工事日数を484日とすると1日の掘削距離は約1.32m。掘削断面積と掘削距離と掘削すると岩の体積が増える率として1.7をかけると約78.5立米になります。これが1日に出てくる残土の量です。ダンプカー約20台分。

 青木川の坑口について。斜坑の掘削開始が2020年7月17日で2021年3月24日までに300m掘削しています。工事日数を210日とすれば1日1.43mを掘削。1日当りに出てくる残土の量は約194.5立米です。ダンプカー約49台分。

 小渋川の坑口と青木川の坑口の2つの坑口から1日に出てくる残土の量を合わせると、ダンプカーで69台分になります。

補足2

2021/06/15 補足

 今頃になって思い出しました。昨年8月31日にガイドウェイヤードの説明会がありました。残土の有害物質の検査についていくつか質問が出ました。そのついでに、1日にどれくらいの残土が出てくるのか質問しました。最初、JR東海の社員さんは100~150立米と答えました。しばらくしてから、別の社員さんが、400~500立米だと訂正しました。

 100~150立米は、先進坑であれば、1日1.7~2.5m程度の掘削距離に当たると思われます。1か月なら43~63mです。小渋川の先の先進坑の当時の掘削ペースは、大鹿村リニア連絡協議会への報告によれば、2019年8月23日の掘削開始から2020年6月24日ころまでに(稼働日数を262日として)480mを掘削しているので、平均で1か月あたり約46mになります。2020年9月29日から2020年12月11日にかけては1か月あたり約64mを掘っているので、JR東海の1日100~150立米という説明は妥当だと思います。

 訂正後の数字400~500立米は、本坑であれば、1日あたり2.4~2.9m、1か月あたり約60~73mで、長野工区を10年で掘削するという見込みというか予定からすれば、そんな数字かなと思います。先進坑で地質を改良した後から掘るので、本坑の方が理屈の上では予定通りに行くはずです。その時期でも1日500立米はダンプ125台分です。繰り返しになりますが、当面は青木川斜坑口と小渋側川斜坑口から出てくる残土しか利用できません。

補足 3

 2017年8月23日に山梨工区の早川斜坑の先の先進坑が公開されました。『信濃毎日』は、1日4回の火薬を使った発破で5メートルほどのペースで掘り進んでおり、残土は1日約100台のダンプカーで搬出している と書いています(2017年8月24日 "リニアトンネル内公開 JR東海 南ア山梨工区「先進坑」")。先進坑の掘削断面積35平米をもとに計算すると、35×5×1.7=297.5。297.5÷4≒75台。約100台といえなくもないかもしれません。