更新:2021/07/13

山の奥ほど、掘削距離が長いのに

 大鹿村の釜沢地区の2つの坑口から出てくる残土は、小渋川斜坑口との間のトンネルが貫通してから、トンネルを使って運び出す予定です。釜沢地区に通じる県道赤石公園線の道路事情が悪いからです。

 それまでは、釜沢地区内の残土の仮置き場に保管することになります。釜沢地区の仮置き場の容積は約15万6千立米。また、釜沢地区の恒久的な置場として荒川荘の跡地に3万立米が積んであります。

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 2つの斜坑の掘削した距離は、6月下旬時点で、除山が1309m、釜沢が245m。合わせると、1554m。斜坑の掘削断面積を80平米とすると、掘削したトンネルの体積は、12万4320立米。置き場に積んだ時の体積を仮に 15万立米(*1)とすれば。荒川荘の3万立米を引くと12万立米。釜沢地区の仮置き場の容積約15万6千立米から12万立米を引くと約3万6千立米。つまり釜沢地区に置ける残土の量は残り3万6千立米ほどしかないことになります。3万6千立米を山の中にある状態の体積に直すと3万立米。それを掘削断面積で割ると 375m。つまり、釜沢地区の斜坑はあと約380m程度しか掘れません。現状の月34mのペースならあと11か月は掘れます。

 釜沢斜坑口と小渋川斜坑口との間のトンネルがつながらないかぎりはそうなります。

 小渋川斜坑口からの工事は、斜坑1150mを掘り、現在は全長1600mの先進坑を800m掘ったところです。残り800mです。先進坑は、2019年8月23日から掘削を開始。1年と10カ月で800mを掘りました。残り800mを1年と10か月で掘るとすれば、釜沢地区のトンネル掘削は11か月休まなくてはならなくなるはず。

 6月24日の第20回大鹿村リニア連絡協議会でJR東海さんは残り800mを年内に掘りたいといっていました。6か月で800m掘るには、1か月に約130m以上掘らなくてはなりません。この先進坑では、1か月に66m掘ったこともありますが、130mは約2倍のペースです。

 この先進坑は、釜沢集落の下を通過するので、集落の水源に影響がでる可能性があります。水源に影響がでたら、静岡県の状況を見ても、今後トンネルの掘削を続けるわけにはいかないでしょう。今まで以上に慎重な工事が必要となれば、釜沢地区のトンネル工事が停止する可能性は非常に高いと思います。

 小渋川の約2.8㎞、釜沢の約1.8㎞に比べ、除山斜坑口からの掘削する約7㎞は長野工区の中では最長です。山の奥にいくほど坑口ごとの掘削距離が長くなる。こういう事態は想定できたはずで、2027年を開業目標としたのは無理があったと思います。

 思い起こせば、2017年4月27日に除山斜坑の掘削を1日だけ掘削、7月3日に小渋川斜坑の掘削を開始、11月1日なって除山斜坑の掘削を本式に始めたという経緯が、なんとなくなんとなく…。

*1 このページ の「土量変化率の一覧表」から「中硬岩」の「C 1.20~1.40」の 1.2 をかけた。

関連ページ:大鹿村のリニアのトンネル工事について