更新:2021/07/21

下久堅小林の残土置場、7月20日

 飯田市下久堅小林の残土置場予定地で工事が始まっているとの話を聞きましたので、行って見てきました。環境保全計画の工程表によれば、2021年度の第1四半期から第2四半期は、準備工(伐採工)、河川工事(下流)の河川区域外工事となっています。

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飯田市内発生土置き場(下久堅)における環境保全について 令和2年12月 東海旅客鉄道株式会社」より

 盛り土の行われる場所の地形は谷です。南側に伝田沢川が流れています。残土置場の面積は30000平米、受け入れ量は20万5千立米。盛土する場所は3か所に分かれています。残土を搬入する間、JR東海が土地を借りて、工事終了後は地権者に返します。土地は耕地として利用。河川と道路部分については飯田市が管理する方向で協議中。「環境保全について」(p45)に次のようにでています。下線を付けた部分に注目。JR東海さんは、土地を返した後のことは飯田市と地権者でちゃんとやって下さいねといっているだけです。この方式が、残土置場の基本的なパターンだと思います。地域住民にとって、ひょっとすると自治体にとって、一番不利なやり方です。

5-3 工事完了後の管理計画

 盛土の安定性については(p41):

盛り土全体の安定性については、円弧すべりによる安定性の検討を行った。地震時の検討は、道路土工 盛土工指針(H22.4 日本道路協会)(以下、「盛土工指針」という。)に基づき大規模地震動(レベル2)で検討を行い、許容安全率を上回る安全性を確保している。また、盛土補強材料を使用し、補強する計画とする。

 こういう感じの造成工事を行う場合の技術的な指針はないので別の基準でといっているように思えます。道路を建設する場合、こういう規模の盛り土をした場合があるのかないのか。という点は心配ですね。

主要部分

 一番面積の大きな主要部分で、耕土のようなものをダンプカー2台で、すぐ近くの仮置き場のような場所に運んでいました。木の根のようなものもトラックに積み込んでいました。

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看板の左の道路を上ってきたダンプカーが右側の道路をこちらに向かって走るようになっているので、車両出入口では、ガードマンが誘導していました。

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 どこからか、水が湧き出てきているようです。

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ダンプカーのすれ違い。白いダンプは、このあとバックして右のほうへ出ていきました。

上流側

 主要部分の上流の道路を挟んだところに集会場があります。集会場の向こうのガードレールが見える部分の向こう側も残土置場。

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伝田沢川。

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下流側

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画面右に見えるガードレールの所に伝田沢川が流れています。ガードレールのあたりから右岸に擁壁をたてて盛り土をするようです。

盛り土直下に人家

 下の図で、赤が盛土。下流は左上になります。盛土の主要部分の下から「矢印A」までは谷が非常に狭くなっています。

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(地理院地図に加工)

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谷の出口部分。ガードレールの向こうに伝田沢川が流れています。ドラム缶の向こう側のやや低くなった部分が下流の盛土予定部分。盛土にはコンクリートの擁壁を造り、河川改修もする計画ですが、この部分で盛土が崩れ川がつまった場合は危険だと思います。

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伝田沢川。

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同じ場所から下流側を見ると直下に人家があります。盛土の主要部分からの距離は200~300m。

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上の写真の青い小屋から上流を見たところ。

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さらに下流から上流方向をみる。この家の北側のすぐそばを伝田沢川が流れています。すぐ下流にもう1軒人家があります。

 将来、盛り土が崩れた時に、「工事の決定が、熱海の土石流災害より前だったことが、マズかったのかもしれない」、では、話にならないと思います。決まったことで済まして良いのか?

 盛土と関係させずに、災害対策の必要があると思います。この盛土、やらないに越したことはないと思います。

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飯田市のハザードマップ下久堅2 L2(氾濫流) (その他のファイル/7.58MB) より。赤丸が盛土のおよその位置。伝田沢川の下流は地図では上。

仮置き場(?)

 次の図で紫色の部分。地図でわかるようにこの部分は以前から盛土されていた場所。

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(地理院地図に加工)

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 飯田市議会、2020年12月16日のリニア推進特別委員会で下久堅の盛土について説明に使われた資料がありました。

 スライド7と11に「発生土置き場」が示してあるのですが、これは「保全計画対象範囲」。こんな資料で説明を受けていては、議会としてちゃんとした議論はできないでしょうね。