更新:2021/08/20

飯田下伊那の産業界・経済界の意識はずれている

 『南信州』の8月19日9面に、"コロナ経ても 8割が「変わらず」 飯田信金がアンケート 飯伊のリニアへの思い" という記事がのっていました。飯田信用金庫が飯田下伊那地域を対象にアンケートを実施した結果、リニアへの「思い」とか「期待」は約8割で大きいという内容。

 調査結果について、飯田信金(しんきん南信州地域研究所リニア・三遠南信対策室)が「当地域のリニアに対する思いと期待は予想していた以上に強く、やや意外ともいえる」とコメントしたこと、また、2019年から2021年で「期待している」が3.4%増えたことについて、「大きな環境の変化の中でも目立った現象は見られなかったと考えるのが適当」とのコメントを紹介しています。調査対象が偏っていることが反映していると飯田信金は考えているようです。サンプル数も156と少ないです。

 飯田信金の「リニアレポート No.507」(*)にアンケート結果がのっています。調査対象が偏っているのではないかという点については、「産業経済動向調査」の調査先・送付先ということで、ここにも産業界・経済界の意識が投影されているのでは、と考えられる… としています(下線は引用者による)。

*:しんきんリニア掲示板

 また、アンケート調査を行うにあたり、このコロナ禍により、新幹線の必要性・重要性は薄れることも増すことも想定できると考えた。「コロナ前と変わらず」はせいぜい半数程度で、残りを「薄れた」「増した」で分け合うことも想定したのであるが、当地域の皆さまのリニア新幹線に対する思い・期待は依然として力強いことが窺われた。 としています。

 昨年の飯田市長選挙では、リニア新幹線への乗り換えのために飯田線の乗換駅の新設計画の中止を訴えた(*1)新人の佐藤候補が現職の牧野氏にたいして2倍の得票差で当選(*2)したという事実を考えれば、飯田信金がアンケート結果に意外と思うのは無理はないと思います。飯田下伊那の「産業界・経済界の意識」は地域住民一般の「意識」とずれていると思います。判断に経済的な合理性が貫徹していたのかどうか。何らかの忖度があっての回答だったなら、ちょっと心細い話ではないかと思います。

*1:『南信州』2021年 1月 19日 "設置取りやめに異論なく"

*2:『南信州』2020年 10月 19日 "飯田市長に新人佐藤氏"

 9面と後ろのほうのページですが『南信州』がこの記事をのせたことにも注目したいと思います。