更新:2021/11/06

アセらず焦るリニア

 リニア中央新幹線の建設を始める前に環境影響評価(アセスメント、アセス)が行われました。でも、建設をすることが決まってから行われました。環境への影響を考えるなら、建設の決定の前にやってから、影響が深刻なら止めるということもあるんだ、というのが当たり前だと思います。それが当たり前のアセスだと思います。(注)

 リニアでは世界的に標準の建設決定前のアセスメントが行われませんでした。JR東海が「日本の法律に従って行った」建設決定後のアセスメントでは、「対策の仕方は具体的には後で考えるけれど、対策をしない場合はコレコレの影響が出るが対策をするので影響は少ないと考える」という感じになってしまうのです。そういうところを、具体的にはどうなるの、どうするのと、静岡県に突っ込まれています。

 JR東海、国は、いまになって焦っています。

 リニアの技術そのものがかなりあやしくアブナイ。「化石賞」を受賞できるような、遅れた環境政策の感覚だから建設計画決定後のアセスメントでごまかしているのだと思います。

 リニアは必ず大失敗します。

(注:2021/11/14) やや誤解を招く部分もある書き方だったかも知れません。日本の環境影響評価では配慮書というのがあって(2011年の環境影響評価法改正)「事業の位置・規模等の検討段階において、事業者が環境保全措置や複数案の検討を行うとともに、環境影響について地域住民や専門家、地方公共団体などの意見を取り入れるよう努めること(※1)」になっているのですが、「現在、環境影響評価法において実施されている環境アセスメントを含め、日本において行われている環境アセスメントは、事業アセスメントの範疇に属する(※2)」といわれているようです。つまり、環境への影響を出来るだけ少なくするように、また社会にとってその事業の必要性はどうなのか十分に検討してから事業の計画を構想段階から慎重に検討しながら具体化していくという「当たり前の考え方が一貫して行われているか」どうか(※3)という問題で、形式上はそうなっていても、日本の制度は実際には不十分だと思います。JR東海は当時は法律にまだなかったなかった配慮書を取り入れたことを、いかにも恩ぎせがましくいっていましたが、実際にやったことは、豊丘村の本山で行った、保安林指定の解除の2年前の希少植物の移植のための「採取」です。環境を保全しようという考え方のひとかけらも見えません。

※1 「一般財団法人環境イノベーション情報機構」 > 環境用語集 > 計画アセスメント

※2 同 > 事業アセスメント

※3 同 > 戦略的環境アセスメント