更新:2022/07/21、2022/07/22 タイトル変更と補足

被告席に座る町議会

多数の高森町議は勉強不足で危機感がない

 7月20日午前、下市田区民会館で、町議会議会運営委員会とサッカー場問題を考える会の懇談。正副議長と5人の町議が出席。議長は会場に入場、着席と同時に「被告席みたいだな」と住民に対して非常に挑戦的なコトバをはきました。

 公認サッカー場の建設事業は決まったことなのかそうでないのかという点について、副議長は議決はしていないと発言し、それを決めるのはサッカー場の設計などが決まった後出された議案(予算についての議案)のときに決まると説明。また、しかし、副議長は事業計画そのものについて議会は審議できないとも、意味不明のことをいっています。11月の全員協議会の町長の提案について、1月4日の関連予算の決議に反対した議員は検討を進めてよいかという提案だったとしたのに対して(だから1月4日に関連予算に反対した)、賛成した多数の議員は事業を進めてよいかという提案であったのですでに議決済みだったと説明(だから1月4日に賛成)。制度上全員協議会で議決はあり得ないので、副議長の見解は間違っていませんが、事業計画そのものについて云々はハテナですね。

 会場から町議を経験した方が、細かいいくつも予算を認めていく過程は外堀を埋められていくようなものと指摘。であれば、外堀を埋められるということからいえば、1月4日に最初にでてきた関連予算を否決すべきだったはず。町のやり方と議会の対応の仕組みについて大多数の町議は理解できていない、ぼんやりしている、町の決定にお墨付きを与えるだけの存在になり下がっている現状がよくわかりました。その意味においても被告席に座っているという自覚は必要です。

 議長は、最初のあいさつの中で、戦前は議会が弱かったので戦争になったという話をしましたが、議会が全体として町の政策を翼賛している現状は戦前とまったく同じであるという自覚がないわけで、そういう方が開口一番「被告席」と発言したのは、意見を持つ町民を敵とみなしているわけです。不穏当を承知で書きますが、次は昔なら処刑台に立っていただきましょうかという話だと思います。

 なお、7月1日の区長会で町長がサッカー場の町民向けの基本設計説明会(下市田地区は27日予定)で「作る作らないの論議はしません」と発言したことが取り上げられましたが、区長会に出席した下市田区長がこの発言におどろき、下市田区の代議員会で報告しました。住民側が町長がそういう態度で臨むなら下市田での説明会は必ず紛糾するだろうというと、私見と議長としての見解の区別ができないこの議長もこの点については町長に論議するようにいうと回答しています(あてになりませんが)。

 場外舟券売場の問題についても質疑がありました。場外舟券売り場が設置できない条件は3つ(*)ほどあるのですが、司会をしていた議会運営委員長は締めくくりの中で、今後その3つが段階を踏んで行われると説明しました。会場からそれは違うと声がかかるとそんなことはないと強く否定しました。住民側の司会が、どれか一つでもあればダメという制度になっていると説明すると納得したようです。会場から声をかけた住民がたちの悪い人物だったのでナメタ反応をしたのでしょう。住民側の司会は社会的地位もあり紳士的なかただったので聞き入れるという態度です。議員としてまったくの勉強不足であるし、人を見かけで判断するという過ちも犯しています。

* (1)地元(町内会、自治会など)の同意、(2)首長の同意、(3)議会が設置反対の議決をしていないこと(事業者側は反対しないよう議会に請願をする可能性あり)。(1)、(2)のどちらかでもなければダメ。(3)があればダメ。議会運営委員長は、事業者側の段取りを念頭に、地元の同意、町長の同意、議会の同意と進むと理解しており、議会としての立場がありません。まったくの受け身でこれで議会運営委員長が務まるんでしょうか? (2)については、ダイエーパチンコの跡地を舟券売り場にとの話があると知った時点(昨年)に町長がダメといえば済むものを、ダイエーパチンコの用地の地主から町が土地を買い取るという判断をしました。舟券売り場が来ないようにするためを考えたと言われていますが、事業者に設置に同意できないという方が、町の財政負担が生じないので、ともかく土地の購入が目的だったことは明らかです。土地購入について町長がそのような説明をしていたとすれば問題です。(2022/07/22 補足)

 別件ですが、出砂原自治会は今年度の町政懇談会(まちづくり懇談会)についてワークショップ形式は止めて欲しい、従来の自由な質疑・討論の形式にしてほしいと要望していましたが、町側は、それなら、質問事項を事前通告せよ、即座に回答するために以前のように各課から担当者を出席させるような対応はできないとの回答をしてきました。自治会の常会長会(7月13日)で自治会長がそう報告しました。

 だいたい、各課の担当者を引き連れて行う必要もそもそもないわけです。国会でも首相が直接答えるのがまず筋です。参加した住民の自由な発言を聞くというのは、町長にとって貴重で重要な機会であることが理解できていないようです。町がそんなことをいうなら「まちづくり懇談会」をボイコットすべきとの意見もでました。

民主主義の敗北

 安倍元首相の殺人事件について、「民主主義への挑戦」と報道されましたが、憲法学者の宇野重規さんは「民主主義の敗北」(*)といっています。住民説明会で「作る作らないの論議はしません」と町長がいうのは、議会で議決を経ていないことが判明したのですから、この発言は「民主主義への挑戦」です。安倍、菅、岸田政権が「民主主義への挑戦」を繰り返したので「民主主義が敗北した」ということであり、歴史的にみると、現在が過去に負けたということですよ。

* 『朝日新聞』7月18日1面 "元首相銃撃 いま問われるもの 宇野重規 暴力で意思表明 民主主義の敗北"(web版)、3面 "不満・怒り 個人の問題とせず"(web版)

(補足 2022/07/22)今回は、町議の大多数の皆さんがボンヤリしていたという話。高森町議会は、なんか問題があると思うのです。過去には、請願を提出した町民に対して、その人の子どもを車ではねとばすかも知れないよと脅迫した議員さんがいたんですが、議会で懲罰も受けなかったし、辞職勧告決議もしてませんでした。議長さんはこの当時からずっと議員やってます。司会をした議会運営委員長も。

 2016年10月17日と18日に高森町議会は町民との懇談会を開きました。懇談会に参加した当時のメモです:

高森町の議会が町民との懇談会を初めて開く。人口1万3千の町で、17日は町民12名!が参加しました。18日は7名の参加者があったそうです。まず最初に、参加者の少なさに、広報が遅いとの指摘がありました。議会に関心がないのは、国会と同じように保守系の議員が数で押し切ることが横行していることも原因と思います。住民が見放せば議会のモラルは低下します。17日には「戦争法案」という呼称を議長が訂正させた問題についておかしいじゃないかと指摘した方がいました。副議長が極めて高圧的な態度でこれに反論するという場面がありました。国会では福島瑞穂さんに自民党が発言の訂正求めたものの訂正要求を取り下げるという不始末があったのに、この副議長はご存じないのか。さらにある議員が町庁舎内で請願をした町民にいやがらせの言辞をはいた(内容)ことについて議会がなにも対応しない点につき厳しい指摘もありました。幸いなことに17日は新聞社の取材はありませんでした。定数と報酬について町民の意見を聞いたという事実だけを作りたいと議員さんたちが考えたとしたら甘い。人が集まりにくい条件でも出てくる住民は、文句を言う人ばかりという点が理解できない議会、議員さんたちでは心細い。(『信毎』2016年10月20日 "高森で議員定数議論 町議と町民 報酬の在り方も")