更新:2022/09/08

部分開業もできない。残念だ。

 「部分開業もできない。残念だ」。7日、静岡県の川勝知事が相模原市の橋本駅前のリニア中間駅の工事現場と相模原市鳥屋の関東車両基地予定地を視察しました。

 『静岡新聞』によれば、川勝知事は:

現場の状況を知らないまま(ほかの知事は)27年に開業できるという幻想を持っている」…車両基地について「人家が残り、用地の取得が進んでいないことを確認した」と述べ、27年開業が困難とする根拠に車両基地の整備が現時点で未着工な点を上げた。神奈川県のリニアの環境影響評価書に同車両基地の土地の造成から整備完了まで11年かかるとの記載があるとし、JR東海の担当者が以前「車両基地が完成しないと開業できない」と話していたと指摘し…「車両基地ができない限り、部分開業もできない。残念だ」と述べた。

 「リニア新幹線を考える相模原連絡会」が中間駅の工事ヤードのゲート前でスタンディングアピールをしたそうです。

本日午後、静岡県の川勝知事が、リニア新幹線神奈川県駅(橋本)を視察ゲート前で、横断幕を持ってスタンディング、通行人にチラシを配布しました。視察を取材した後、ゲートから出てきた多数のメディア関係者がスタンディングの写真を撮影していました。スタンディングには、畑野君枝さん(前衆議院議員)が駆けつけて一緒に横断幕を持って、通行人に「静岡県の川勝知事が、視察に来ています」と呼びかけました。
相模原市役所で本村市長と懇談(非公開)後、記者会見した川勝知事は「工事は相模原の駅、順調に進んでいる。ただ車両基地がなければサービスはできない。車両基地が11年かかるのが全く未整備である。来年春から初めても1年掛かると2027年どころじゃありませんね」と、鳥屋の車両基地予定地を県の職員と視察した上での感想も述べ、不都合な情報はJR東海は話さない」記者会見に参加した数人の方から「川勝知事は、リニア新幹線工事の遅れは静岡だけではないことを実感したのではないか?」と教えてくれました。(リニア新幹線を考える相模原連絡会)

 「リニア新幹線を考える静岡県民ネットワーク」のFBの林克さんのコメント

 7日、川勝知事が、JR東海の計画では品川を出て最初の停車駅、神奈川県駅を視察しました。これは先日の記者会見で、神奈川県駅と甲府駅の部分開業の可能性を探るためと説明しました。
 早速、金子JR東海社長が「部分開業は考えていない」と反応し、数日前、黒岩神奈川県知事は「東京から山梨・甲府だけを目指してどれだけの人が利便性を感じられるのか?列島を大きくつなぐプロジェクト、部分はあり得ない」と記者会見をしたばかり。
 最後に本村相模原市長と非公開で意見交換し、共同の記者会見では「工事は順調に進んでいるが、車両基地がなければサービスは提供できない。車両基地は11年かかるがまったくの未整備。来年春から始めるとしても11年、とても2027年どころではない」と述べました。
 なんだ、遅れているのは静岡県だけのせいではないとアピールしに行ったのか。そういう切り取りでした。明日の全国紙、どういう反応だろうか?

 橋本と甲府の間は約72㎞。平均時速430㎞(名古屋・品川間286㎞を40分で走るとすれば、286㎞÷2×3)で走れば約10分の乗車時間。路線距離が約半分の上海のリニアモーターカー(約30㎞を7~10分で結ぶ)と乗車時間ではいい勝負。橋本が東京圏のハズレにあるというのも上海の郊外に位置する終点の龍陽路駅と似ています。この区間を早急に建設して、中国に勝ったことを、また超電導リニアは世界一ということを示す根性が金子慎さんには足りない。

 JR飯田線の前身、伊那電気鉄道は辰野から南下して建設されましたが、延伸できたところから開業していました。営業収益をあげながら建設できるのが、従来の鉄道の利点だとすれば、ほんとにそうなのか分からないのですが、JR東海が説明しているように、部分開業ができないとすれば、超電導リニア方式というのはとんでもない欠点のある鉄道システムだといえます。上海のトランスラピッドも部分開業の形です。地上一次方式でリニア同期電動機(LSM、リニアシクロナスモーター)を使う推進方式という点は同じなんですから、超電導リニアが部分開業ができない理由はないはずなんですが…。


『静岡新聞』8日付以外の報道

 視察したのは、中間駅予定地(橋本)、藤野トンネル斜坑、関東車両基地予定地。視察後の記者会見で川勝知事は、神奈川県駅と藤野トンネルの建設工事が順調に進んでいることが分かった一方で車両基地の造成が着手すらされていない現状を見て「ショックだった」とコメント…「車両基地の建設工事は着手から11年かかる計画だが、予定地には家が点在していた。車両基地が整備されなければリニアの営業はできない」とし、JR東海が目指す2027年の開業が困難なことを認識したと述べ…「車両基地の現状を(沿線自治体が)知らないのは大問題で、知らせなかったとすれば情報の秘匿だ。不都合な真実は言わないということがあってはならない」とJR東海の姿勢を厳しく批判しました

 自身が主張する神奈川県と甲府市を結ぶルートの先行開業の可能性を探る狙い。視察後、工事が一部進んでいないとして「実現は難しい」との趣旨の感想を記者団に述べた。

視察後の囲み取材で、知事が語ったのは… 「車両基地建設予定地に行ってみたら、工事に11年かかるはずなのに、家ばかりで工事が始まっていない。つまり、仮に来年着工したとしても竣工は2034年になる。それを今日初めて知った。私の視察の目的は、リニアの部分開業(神奈川県~山梨県の約30Km)の可能性を見るためだが、車両基地の建設が始まっていないことで、2027年開業はないと思った。ところが、静岡県も今年加盟した『リニア新幹線建設促進期成同盟会』では、誰も『不都合な真実』を言うことなく、知事たちは2027年開業という幻想を見ている。私は、今回の訪問を、こういう現実を期成同盟会の中で共有するための『突破口』になればと考えている」

 

中央新幹線品川・名古屋間事業説明会【神奈川県相模原市】(2014年11月16日)

 2014年11月16日に津久井公民館で開催された「中央新幹線品川・名古屋間 事業説明会」のスライド(* p34)によれば、関東車両基地の全体工程の想定として、「造成前のビオトープなどの造成期間」として約2年、「造成」に3年、「建築工事、機械工事、電気工事など」に6年程度となっています。合せて約11年です。事業説明会の時期に提示されたスケジュールがその通りに実行された工事はほとんどないと思います。ほとんどは遅れているので、11年で済むのかどうかも疑問です。

image

* 中央新幹線品川・名古屋間事業説明会【神奈川県相模原市】(2014年11月16日)

環境影響評価書(神奈川県)・資料編

image
[ 拡大 ] 「環境影響評価書(神奈川県)」の「評価書資料編」の「資料編」より。

EOF