訂正:2023/12/05 工事説明会を10日に行われたと書いていますが、間違いで11日夜行われました。

更新:2022/10/12

鳶ヶ巣沢環境対策事業工事説明会

リニアが中止になって、「仕方ない」で済む問題か?

 10日夜、大鹿村交流センターで「大鹿村住民」対象に「鳶ヶ巣沢環境対策事業工事説明会」。リニアのトンネル残土を鳶ヶ巣崩壊地(* アカナギ)直下の小渋川岸に盛り土する計画の工事説明会。新聞記事になりそうな内容としては、鳶ヶ巣に村全体から出るトンネル残土約300万㎥のうちの約1割の27万㎥の残土を置くことで、小渋線を使った残土運搬について、土曜日の運行休止を拡大できるという点かなと思いました。

 鳶ヶ巣崩壊地は「標高1320mの尾根から標高770mの河床まで、落差550mの斜面全体が崩落しています」(*)。「明治以前から崩壊が続いており、土砂が小渋川をせき止め、たびたび災害を引き起こし…事業開始当初は、崩壊による土砂止めなどの山腹工を試行したが、傾斜が急で乾燥した土壌のため、森林復旧は進まなかったが、現在は、表土に資材を吹き付ける工法などの新緑化技術を採り入れて復旧成果をあげている。」。対策として、現在やっているのは、崩れてくるのを遅らせ崩れてきたものはそのまま川に流す方法と言えると思います。大鹿村が主張する環境対策というのは崩れてくるものを下で受け止めるということだと思います。

* 『日経クロステック』2009年7月14日 "リニア新幹線の南アルプスルートは安全か 地質の専門家が斜面崩落の危険性を指摘" (執筆者は大鹿村中央構造線博物館学芸員・河本和朗氏)

** 国土交通省 天竜川上流河川事務所 > 人と暮らしの伊那谷遺産プロジェクト鳶ヶ巣大崩壊地

 JR東海は大鹿には残土を処分する適当な場所がないといっていたはずで、工事の目的を副村長が説明していることからも、事業主体が大鹿村であることからしても、このアイデアは大鹿村が発案したものだろうと思います。質疑の中で、「責任問題」を住民から指摘され、JR東海が責任の度合いが一番重くなるような説明を村はしていましたが、どう考えても第一の責任は村にあると思います。将来、この盛土が原因で災害が起きた場合に責任を問われるのは第一に大鹿村だと思います(説明会資料29ページ)。

 説明を聞いていて気になった点は:

 住民から出た質問指摘は:

 終了は9時25分。途中で参加者から閉会動議が出て、別の参加者が聞きたくない人は帰れば良いのではとの発言に何人かが退場するという一幕も。

 最後の村長の「仕方ない」は非常に正直なお言葉で、こんな発言をさせないように司会の副村長がしっかり進行をしないからとの声が、散会後きかれました。

 会場入り口にも「大鹿村村民(住民だったかも)対象の説明」と貼り紙があり、司会の副村長も村民対象を強調し、住民以外の質問は受けないので別に村に出して欲しいといっていました。まあ、別に頼んだわけでもないのに、いいたいことは住民の方がいってくれたし、村長さんの「仕方ない」というお言葉が拝聴できたことが大収穫でした。

 大鹿村役場は身の丈に合わないことをしようとしていると思います。

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