更新:2023/01/21

下條の残土置き場の環境保全計画について意見募集

 『中日』1月20日13面 "下條の残土置き場で動植物影響懸念の声 県環境影響評価技術委"。19日に松本市内で開かれた長野県環境評価技術委員会で下條村火沢の残土置き場(10万㎡、115万㎥)について、「委員からは動植物への影響や工事車両の通行による混雑などを懸念する声が出た」そうです。

 「県は2月6日まで環境保全の見地からの県民の意見も受けていて」と記事は書いていますが、長野県のホームページ「「下條村内発生土置き場(睦沢)における環境保全について」に対する環境保全の見地からの御意見をお寄せください」によれば、「報告書について環境保全の見地からの御意見をお持ちの方は、次のとおり意見書を提出してください。」としていて、別に長野県民に限っていないので、この記事の書き方は不正確です。

 前に紹介したとおり:

 (1)環境保全の計画のなかに、守るべき植物の移植を長野県の助言を受ける前にやってしまいましたとJR東海は報告しており、これは環境を守べきという考えがJR東海にあればまずやらないことだと思います。けしからんことだと思います。なお、報告書は「下條村内発生土置き場(睦沢)における環境保全について(令和4年12月)」。「移植」については「第3章 環境保全の計画 3-5 重要な種等の移植」に「ギフチョウの幼虫の食草であるヒメカンアオイ、ウスバサイシンの生育地について、その一部を回避することができなかったため、ギフチョウの希少性の高さや専門家等の意見も踏まえ、工事前に移植を実施した。」(3-33ページ)と書いています。

 (2)『環境保全について』の「2-5 資材及び機械の運搬に用いる車両の運行計画について」によれば、残土の搬入ルートは国道153号線が阿智川を渡る橋を往復とも通行することになっています。橋を挟んで飯田側、残土置き場側ともに非常に急な勾配です。運搬車の排気ガスと他の交通への支障が心配です。途中の火沢橋の強度の心配です。

 (3)この谷は断層がすぐそばにあって、地震で残土が崩壊流出した場合に阿智川をせき止める心配もあります。

 (4)埋め立て地の直上の道の駅の谷埋め盛土(約30年前に造成)はすでに一部が崩壊をしており、この部分の対策も必要です。

 (5)県の意見募集のページには「報告書の閲覧について」というところで「JR東海のホームページにおいて御覧いただけます。」としていますが、例えば、19日に松本の委員会に提出された報告書と現在JR東海のホームページに掲載されているものが同じという保証があるでしょうか? JR東海は2014年8月の補正版公表後に、環境影響評価書について正誤表を使わずに文書の内容を誤字脱字修正の範囲を超えるデータ訂正の修正していました。長野県は長野県に提出されたPDFを長野県のホームページに掲載すべきです。

 県のホームページにあるように、意見提出は、2月6日締め切り、ネットで提出できます。