更新:2023/09/30

リニアのトンネル工事の進捗状況は?(2)
大鹿村リニア連絡協議会、9月26日

 『週刊エコノミスト』の梅原淳さんの記事に関連して、南アルプストンネルの工事の進み具合についてこちらに書きましたが、9月26日、大鹿村のリニア連絡協議会があり、トンネル工事の様子などについて説明や質疑がありました。9月28日の『信毎』、『中日』、『南信州』が記事にしています。それらの記事によれば、会議の要点は以下のようなものです。

(1)南アルプストンネルの工事で出る蛇紋岩約3万㎥を鳶ヶ巣沢の盛土とその工事用道路の建設に使用する。11月から工事を再開(地盤改良と左岸道路)する(『信毎』、『南信州』)。

(2)大鹿村内で発生する見込みの「全ての残土約300万立方メートルについて、協議中の場所を含め『活用先のめどが立った』と説明(『信毎』)。

(3)8月に松川インター大鹿線(小渋線)であった車同士の正面衝突事故について、委員の指摘を受け、「長野工区を担うJV所長は事故に業務時間外の工事従事者が関係していたと」認め陳謝(『信毎』)。

(4)小渋川非常口では、本坑の3割の掘削が完了(『中日』)。

(5)9月11日以降に掘削した蛇紋岩から数百万㎥について基準値超のホウ素検出しトンネル内に仮置き(『中日』、『南信州』)。

(6)先進坑の状況から100mと予想される蛇紋岩の層の60mを掘削(『中日』、『南信州』)。

(7)釜沢非常口では、本坑の半分を掘削。「小河内沢との交差に向け…先進坑の掘削に戻る」(『中日』)。

(8)除山非常口では、本坑との連絡坑を掘削し来年の1月に先進坑の再開をする(『中日』、『南信州』)。

(9)工事車両の通行実績台数が予定台数より少なかったことについて、住民から、工事の進捗状況について2026年秋までに終わるのか質問があって、JR東海は「進捗は良くないが、工期までに掘削を終えたいのは変わらない。工期が延びる場合は説明する」と答えたそうです(『中日』)。『南信州』によれば、JR東海の古谷長野県担当部長は「『この3カ月間を見ると進ちょくはあまり良くないが、2026年11月までにトンネルを掘り抜くという計画に変更はない』とした」。遅れている理由は、「工事の切り替え」(『南信州』。連絡坑の掘削や釜沢非常口の先進坑の再開などのことか?)や蛇紋岩への対応で、工事を慎重に進めているから残土運搬車の台数が計画より少なくなったと説明。

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(4)の小渋川非常口からの本坑の掘削は2022年4月11日にはじまったので、掘削した期間を仮に9月26日までとすれば、1600mの3割=480mを533日で掘ったので、1日に約0.9m、1カ月に27m。釜沢斜坑との接続部分まで残り1120mは、1カ月当たり27mのペースだと約41.5カ月(3年と5カ月半)かかると予測できます。ただし、現在、蛇紋岩対応で慎重に進めているというので、ペースがこれより落ちる可能性もあるし、釜沢集落の水源の沢の直下付近では、別の水の問題で手こずる可能性もあるのではないかと思います。

(7)の釜沢非常口からの掘削について、以前、JR東海はこの区間は、地質がよく分かっているので先進坑は除山斜坑の接続部までは当面は掘らないと言っていましたが、半分も掘らない内に方針変更とは…(参考図)。

(8)の除山非常口からの掘削については、先進坑を掘っていたのを途中で一時中断して、本坑と、先進坑や斜坑と結ぶトンネル(連絡坑)を掘っているという意味だろうと思います。除山非常口は、本線の南にあるので、本線は先進坑の北側になるはずです。長さはおそらく30~50mほどかと思います。連絡坑が通れば、先進坑の掘削を追って、本坑の掘削をいつでも始めれるということですが、小渋川非常口からの本坑掘削の様子からは、こちらの本坑も相当手こずるんじゃないかと思います。

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