更新:2025/07/17

「豊丘村の水を守る会」が豊丘村村長に要対策土STOPを要望

 7月16日、「豊丘村の水を守る会」が豊丘村村長に、豊丘村の本山(本山)のリニアの残土置場に要対策土を処分するJR東海の計画を止めさせるよう要望。午後、村役場で代表3名が、村長・副村長に要望書を手渡し意見交換をしました。

水源地である本山を要対策土で汚染しない判断を要望します

 村長の考え方は、処分後の安全チェックは必要だが、中止までの判断はできないというのが基本的なところ。「豊丘村の水を守る会」(5月8日発足)は、村長が任期の残り1年9カ月では…と述べるのに対して、将来のことだけれど、決断するのは今で、その決断は後世大きく評価されるとまで言ったのに、なにか煮え切らない反応でした。村長は、リニア建設の現実と行く末に、同時に豊丘村の将来世代のことに思いをめぐらして考えた方が良いと思いました。

 村長は、「もっと適切な場所に置けばと思う」などといっていましたが、それでは、自分で思っていることと、首長として言ってることがあっていません。

 「水を守る会」側は、リニアを活用して地域の発展という考えだが、なんでもありでは困る、村民の安全に関わることなのだから、やめてほしいとも。

 また、環境の問題というのは長いスパンで考えないといけない。例えばコンクリートなんかは、中川村の坂戸橋の欄干の写真を示し、雨水にさらされただけでアルカリ分が溶け出し劣化するように、処分場所の対策が工学的に安全といえる時間は、環境を考える上では短いと指摘。

 元は水源涵養保安林の指定があった場所で、周囲はまだ水源涵養保安林の指定の残っている林が広がっている。その中に毒物をおくことは許されないとの指摘に、村長は、「それは、当たり前」とコメント。

 村長は、JR東海の説明を信用しすぎていないかとの指摘もありました。

 本山へは、普通の残土は置くが、要対策土は置かないということで残土の受け入れが決まったはずなのに、将来は自社用地とするから、自社用地での「活用」という形で計画されたが、JR東海の説明は、二枚舌、三枚舌で、納得できない。

 処分したあと、危険が生じるのは、時間がたってからだが、その時期になっても相変わらず住民は住んでいるが、その時になって、JR東海に期待できるのか。今村長が中止を判断すれば、批判する村民は少なく、多くの村民が称賛するはずとの意見も。

 要望書の趣旨説明の6項目に要対策土の受入れの同意の決定をすべき地権者団体の組織運営の問題点を取り上げています。本山の残土置き場を巡っては、これまで、山生産森林組合、改組後の本山認可地縁団体が、組織の規約に則った適切な組織決定して来なかった点です。なお、JR東海は自社用地での「活用」といってますが、まだ本山認可地縁団体の会長の意向で売買契約は成立していません。なお、JR東海が本山認可地縁団体に関係する地域の自治会などに相当額の補助金を献金しているとのこと。2つの組織の約10年にわたり在任の本山認可地縁団体の会長は自分の手腕と考えているのかも知れないとの見方もあるようです。

 村長は、田中康夫知事の脱ダム宣言で取りやめになった郷士沢ダム(ごうしざわ)を復活して、その水で薄めれば良いなんてこといっていますが、汚染が分かってからダム建設は間に合わないし、事前に対策としてダムを建設するというのは、リニアのマイナス面がすごく強調されるでしょう。

* 長野県 > 郷士沢川部会の要点・審議経過 > 「郷士沢川部会報告 (2002年12月25日)」、p13、では、"この審議を通じ、汚染されている井戸水の原因を探り、住民参加のもとに将来にわたって対応策を講じること、節水意識をさらに高めていくこと、新たな水源の確保について、ダムによる場合でも将来の課題であることは、部会委員の共通認識として確認された。…部会では、治水・利水対策においては、「ダムによる案」と「ダムによらない案」の2案を報告することとなった。…治水・利水対策は住民にとって将来を左右する課題であり、今回15回行った部会の検討を糧として住民参加による治水・利水対策協議会(仮称)などに発展させていくことも必要" という報告している。田中康夫知事による脱ダム宣言は2001年2月20日に出された。中止までの経過はダム便覧保存館にあります。

 なお、本日、7月17日、要対策土の受け入れに同意する決議を予定している本山認可地縁団体の「総代会」が開かれる予定ですが、こういう重要な内容は、法律の規定では、「総会」でなければ決定できないし、そもそも、法律が定めている認可地縁団体の規約には「総代会」という会合が存在しません。「総代会」でというのは、以前の入会組合時代の規約をそのまま運用している実態があるからです。本山生産森林組合時代に残土(130万㎥)を受け入れる決定も総代会で行われ、長野県から決定は無効との指摘を受け白紙に戻されたことがありました。そのご、認可地縁団体に衣替えしたのですが、不祥事があった時の組合長が、新たな認可地縁団体の会長に就任するという不思議もありました。

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