再検討:竜東一貫道路(喬木村)


準備書。


写真A。赤丸の部分の前景と背景の重なり具合を準備書の写真とそろえて撮影位置を探りました。これで撮影位置はほぼ正しく推定できたはずです。左右のオレンジ色の縦線は35mm相当の画角の範囲を示しています(54度。※)。つまりJR東海が説明する35mm相当レンズでは準備書の写真は撮影できません。右端のトラックは同じ位置に止まっているように見えますが基準に使えません。左端が写真Aの方がごく少し余計な範囲が写っています。これはカメラのファインダーの視野率が95パーセントのためだと思います。そのあたりを考慮すると準備書の写真は28mm相当のレンズで撮影された可能性が高いといえます。


写真B。同じ位置で35mm相当のレンズで撮影。左右が狭くなっています。撮影距離は同じですから遠近感は同じはずですね、ところが中央部遠景の段丘が心持大きく写っています。つまり遠近感は弱くなっています。ちょっと不思議に思うかも知れませんが、写真Aに比べ写真Bは少し拡大されたのと同じことになっているのですから当たり前です。しかし同じサイズ、たとえばサービス判で鑑賞するとすれば、焦点距離が長くなれば遠近感は弱くなり、短くなれば、つまり広角になるほど遠近感は強くなるのです。このような遠方にリニアの高架橋があったとすれば広角レンズで撮影するほど存在感は薄くなるはずです。


写真C。写真Aの位置から約6.4m後退して35mm相当で撮影。左側はBの赤丸の重なりが同じになるように、右側は「はやし」の看板が画面左端から同じ距離になるようにしました。手前Cの赤丸が写真Aの撮影位置(=準備書の写真の推定位置)です。Aの赤丸部分の前景と背景の重なり具合が変化しています。右側手前に電柱が入ってきているし、2本目の電柱と3本目の電柱の高さが逆転しています。

結論。準備書の写真は28mm相当レンズで撮影された可能性が非常に高いといえます。

※ 35mmレンズの水平画角は普通は54度です。半分が27度で、tan27度は、0.5095 です。写真Aは、APS-Cの18mmレンズですから、焦点面での27度に相当する長さは9.17mmで、撮像素子の横幅の 22mm に対する比率は 0.4169 になります。写真Aは 横幅590ピクセルですから、0.4169をかけると 246 です。590 ÷ 2 = 295 が画面センターですから、246 を足し引きして水平座標を求めると、49 と 541 です。この位置にオレンジ色の縦線を書き込みました。