こっちも、あっちも、三菱


説得力がありそう!みたいな?

 10月11日夜、北部事務組合主催の地域活性化講演会(豊丘村・ゆめあるて)がありました。講師は三菱UFJリサーチ&コンサルティング政策研究事業部主席研究員の加藤義人さん。演題は『リニア時代の地域づくり~下伊那北部地域を念頭に~』。歯切れのよい話はなかなか説得力がありそう!みたいな?感じでした。

 2030年に向けた日本経済は成長が鈍いという関係各機関の試算には、実はリニアの効果が入っていないが、リニアの効果を考えると経済の先行きは明るくなると加藤さん。しかし、なぜリニアが入っていないの? あてにならないからでしょ。

 1時間に1本のリニアの飯田からの1時間圏、2時間圏と、JR、地下鉄、私鉄などがクモの巣のように発達した東京の品川からのそれでは、全く意味が違うはずなのに、東京や名古屋が1時間圏になるといわれても・・・。

 アリーナは有望という一方コンベンションは中小規模のものにして、小さく産んで大きく育てるのが良いとおっしゃいました。

 質問したのは松川町の方1名でした。新幹線の利用者がほとんどリニアに移るなら飯田下伊那の人は切符が買えるだろうか、何かのイベントがあるとして輸送力からみれば、何時間も前に来なくてはならないではないかとの質問。具体的には1000人乗車で1時間に1本停車、中間駅が4つで各駅に250人が降りるとすれば、イベント前の数時間で飯田にこれる乗客は何人になるのということ。

 加藤さんの回答。切符の件は、交通機関の事業者は乗り残しの出るのを恐れるからそのへんはきちんと考えているはずだから大丈夫。イベント参加者の輸送については、そのイベントだけでなく、飯田に行くならついでにというものを用意できれば問題ないって、それって、輸送力が少ないことを肯定しているんじゃないですか。切符の件も説得力はないですね。輸送力は新幹線の約半分。中間駅は各県や関係自治体の建設への協力が得たいがためだけのことなのです。作りたくないのがJR東海の本音。


講師にお礼を言う豊丘村村長。2014年の市川宏雄さんの講演より参加者は少ないような・・・

 集まったのは、主に市町村職員と議員、首長です。とくに残土問題で厳しい状況にあるのを彼らはひしひしと感じているはずです。リニアの建設が本当に可能かどうか。加藤さんの話はリニアができるという前提に立てばです。

 対米開戦をすれば石油のない日本は大変なことになるという声に、海軍がシーレーンをちゃんと守ってくれると言うのだから、南方の石油をとれるので戦争をすれば良くなると、当時の鈴木貞一企画院総裁がいったそうです。リニアと経済成長や地域活性化の話ってこれと良く似てますね。太平洋戦争は開戦まえの予測通り日本は負けたんですが、われわれ国民はそういう過去の事実をきちんと受け止めるべきですね。

 いまごろ気が付いたのですが、三菱UFJというのは三菱重工と関係あるはず。三菱重工が超電導リニアの車体の製造からしばらく前に降りたというような、ちょっと不都合かもしれない真実については触れませんでしたね。まあ、関係なくても、開発にほころびが出始めているという事実はある。

 昨年、三菱重工がリニアの車両製造から撤退したと報じられた。車両開発をリードしてきた会社に何があったのか。取材すると思いがけない答えが返ってきた。
 「いや、数年前に撤退しています。なぜ、昨年になって記事が出たのか分かりません」。撤退時期や理由を聞くと、「厳しい守秘義務契約になっていて、こちらからリニアの話は一切できない」と回答を断られた。(『日経ビジネス』8月20日号)

追記:2018/10/13

頭が混乱しちゃいます

 加藤さんが示した「リニアを見据えた」の処方箋です。どれをやったらいいと思いますか? テーマパークについては不利だろうとの説明の後で、見込みがあるとすればIR(統合リゾート施設)とちらっと言っておられました。


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 この表を見て、伊那谷住民として、まず何をやるべきか分かりますか。コンベンションについての情報を知りたいという主催者からのリクエストにこたえたのが次のスライド。コンベンションは大きなものはダメで地方大会のような規模の大きくない会議を狙った方が良いとのこと。しかし、それだって飯田にとっては「地方」が「中部地方」か「関東甲信越」か「東海地方」に限られるんですから、出席者の全員がリニアを使うわけじゃありません。その規模のコンベンションなら他の都市でも可能性があるんじゃないでしょうか。

 つまり、あまり確かでない「リニアを見据えた」選択肢をちらつかせて、リニアへの協力を求めたいというのが本音じゃないでしょうか。加藤さんなのか、主催者なのか、誰の本根かは分かりませんが。


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 1時間とか2時間でどこまで行けるかを示した地図が何枚も紹介されました。これが、メガリージョンができるという、最後の地図。中央の空白部分が気になりますね。ここは赤石山地です。そしてもう一つ、どういうわけなのか、四国から紀伊半島にかけて中央構造線がハッキリ見えていますよ。