更新:2019/06/27

ラウンドアバウトのアバウトな計画

リニア工事関連道路・町道7290号線改良工事説明会

 リニアのガイドウェイ組立ヤードへの大型車両(工事車両)の通行の便宜をはかる目的で高森町は下市田河原の農免道路の北に続く町道7290号線の拡幅改良工事をしようとしています。その住民説明会が6月26日にありました。


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 地図の左側にリニアのガイドウェイ組立ヤードが計画されています。右側には生コンプラントがあります。ガイドウェイの側面のパネル(ビーム)はコンクリート製でヤード内には生コンプラントはないので、この道路を使って生コンを運ぶと思われます。2年ほど前のガイドウェイヤードの説明会で、町の建設課の職員が完成時期がJR東海さんの要望に沿えるように7290号線の改良を計画しているという意味の発言をしていました。

 地図で「せまい区間」と書いたところでは、現在大型車はすれ違いが出来ません。この部分の道そばにある町所有の「かわせみの家」の土地へ道路を動かして線型を整え拡幅するというのが一番大きな部分。

 説明会では、回を重ねるごとに住民から厳しい指摘がでてきました。

◎ 資料としては、毎回配布している図面(上の地図、道路断面図、ラウンドアバウトの図面)と式次第だけで、用地交渉は何時まで、入札が何時で、発注、着工が具体的にいつになるのかを書面にしたものがありませんでした。スケジュールについて何人もが繰り返し質問をしていましたが、要領を得た説明といえるものではありませんでした。このあたり最近のJR東海の説明の仕方に似ています。だいたい10月頃工事が始まり、今年度は、工事区間の南の端から改良区間の約3分の一程度までということでした。こんなアバウトな計画で工事ができるのかという声もありました。問題点としては:

◎ 地図に黄色く書き込んだのは路地や住宅地への取り付け部分。特にAの道路からは7290号線に出ることが事実上不可能になります。通行する車両台数が増え、スピードも上がるので直角に交わる B でも現在より危険性が増します。C、D、E は7290号線へ急な坂道で接続しているし、路面が若干高くなること、交通量が増え、スピードが上がるため、事故の危険性が一段とあがります。以前の説明会では、建設関係の仕事をされていた方から、改良する道のことしか考えていない設計だとの指摘がありました。

◎ 地図の×印の場所で2018年4月火災がありました。出砂原地区は消防水利が悪く消火栓を複数開けると水圧がさがって消火できません。この火災では消防車が A、C から進入できませんでした。放水が十分にとどかず全焼しましたが、無風だったので幸い延焼はしませんでした。通過車両やJR東海への利便性より、人口密集地である出砂原地区の防火上の安全対策、住民の安全が先決問題です。


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◎ この規模のラウンドアバウト(直径30m、飯田市東和町と同規模)の処理可能台数は1日1万台。この部分の現在の交通量は1日約1万3千4百台で処理能力を超えているのに採用します。7290号を拡幅改良すれば通行台数は今より増えるはず。何のための道路改良か分かりません。(ラウンドアバウトについては単に「流行りにとびついた」だけと思います)

◎ これからは車は増えるでしょうか。車頼み、石油頼みの生活がいつまで続けられるでしょうか。出砂原地区は昭和40年代まで食料品から衣料品、医療機関まで日常のことは徒歩で行ける範囲で間に合う便利な街でした。国鉄の駅もあり、バスの路線も4本ありました。鉄道の貨物扱いもありました。そういう集落のなかの生活道路に多数の車を流入させるのは、省エネ、環境重視のこれからの時代にあうとは思えません。

◎ 公安委員会は交差点が隣接するので信号機の設置は認められないというそうです。ラウンドアバウトで処理できる台数ではないとすれば、明神橋西の交差点付近には、これ以上の交通量を誘導しない施策が必要です。7290号線は集落内の道路と割り切って、拡幅改良せずに、「ゾーン30」など通過車両が走りにくい施策をすればよいです。安心して集落から天竜川の水辺へ歩いて行ける環境を整えたほうが、出砂原集落に住み続ける人が増えると思うし、金もかからないはずです。

◎ 生兵法はケガのもと。所詮、民間経済については素人なのですから、町役場の職員は「経営企画」だとか「リニアを見据えて」だとかチャラチャラしたことは考えない方が良いと思います。経済が発展すれば暮らしが良くなるということは、多くの人々にとって、これまでなかったし、これからもないでしょう。トリクルダウンはあり得ない。町民、住民の生活と生命を直接に守ることを町の職員は考えるべきです。


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