更新:2019/03/14、03/16 加筆訂正

妙琴公園について

住民になじみの薄い「風越公園」という呼び名


 松川工区のヤードの出来る場所は、地元では妙琴原とか妙琴公園と呼んでいます。環境影響評価では景観について主要な眺望の場所(上のフォトモンタージュ)についての評価のほかに「人と自然との触れ合い - 人と自然との触れ合いの活動の場」という項目でここを取り上げています。「地点番号06」「風越公園(飯田市)」という名前で扱っています。

 グーグルマップで飯田市周辺について「風越公園」で検索すると3つの場所が示されます(検索結果)。地図には「風越山麓公園」というのが「かざこし子どもの森公園」の上の方にありますがリストには出ていません。

 グーグルマップのリストの3番目、大休の「風越公園」の部分の拡大図。この地図では、松川の右岸、つまり妙琴公園は「風越公園」の範囲に入っていないようです。


 次に、「風越公園 飯田市」というキーワードでグーグルの画像検索をしてみました。JR東海さんが「改変」を加える「風越公園」はようやく36番目と77番目に出てきました。それも「南信リニア通信」のページ(※注1)。それから、89番目の「ウィキペディア:松川(飯田市)」、92番目の「ブログ:カメラと散歩に:"飯田市妙琴公園(ツツジ)"」。100番までに、98番99番が軽井沢の「風越公園」がある以外は:

 と、地図検索では出てきた「風越公園」(長野県飯田市大休)がありません。92番目の「飯田市妙琴公園(ツツジ)」の方も書いていますが、JR東海がいじっている場所は妙琴公園とか妙琴原という呼び方の方が住民にとっては分かりやすいと思います。

飯田市の松川上流、鼎の妙琴公園・風越公園(飯田市大休地区)周辺ではツツジが見頃でした。
鼎(かなえ)地区は妙琴原(みょうきんばら)と子供の頃呼んでいて、地区の行事で家族でお弁当を持ってで出掛けた記憶があります。

 では、JR東海が言っている「風越公園」とは何か? 私は妙琴原の場所は良く知っていたし、「妙琴原」という呼び方が当たり前と思っていました。だから、公園入口の看板なんか気にとめていませんでした。ところが:

案内看板A


飯田市切石、松川右岸の公園入口の看板。

 「正式」には、「風越(妙琴)公園」って書いてありました。この看板の下の方の案内の矢印に「風越(権助)公園」とも書いてあります。

案内看板B

 JR東海が今工事を始めている「妙琴原」に行くには、大平街道(県道8号)の大休バス停そばから降りていく道があります。


バス停は画面の右の方に。センターラインの方向、先へ行くと大平。この道を残土運搬車が走ります。左の道路が「風越(権助)公園」を経て「風越(妙琴)公園」方面。

 左の矢印の看板:


 左上の2つの公園名を拡大:


 地図を拡大:


 この看板には、「風越(権助)公園」はありますが、「風越(妙琴)公園」とは書いてない。「妙琴公園」です。看板に従って先に進むと、地図の×印には:

案内看板C


 看板は:


この看板、上が北ですから地図としては正しいのですが、看板は北向きですから、非常に分かりにくい。しかも現在位置が示してありません。

 公園の名前が消えそうです:


「・・・風越公園○○山」

 看板の作られた順序は、たぶん、C、B、A の順だと思います。つまり時代としては:

 個人的には、松川左岸は、「大休・風越プール」。右岸が妙琴原という印象が強いです。飯田市と下伊那郡鼎町が合併したのは1984年でした(『南信州』2014年12月2日)。合併前、松川の右岸は鼎町の切石地区、左岸は飯田市でした。

 合併から10年後、『南信州』の1994年5月12日の "鼎切石 全市民の憩いの場に リフレッシュ妙琴整備委が発足" という記事によれば、この年に、飯田市鼎切石地区住民を中心に構成する「リフレッシュ妙琴公園整備委員会」が発足。妙琴公園を鼎地区住民の公園から市民全体の憩いの場にしようとするもので、将来的には松川の対岸の権助公園を含めた風越公園の総合整備を促すことを考えているというようなことが書いてありました。また飯田市は、妙琴公園を羽場地区の権助公園とともに、風越公園として15.5ヘクタールを都市公園に指定して、うち13.3ヘクタール分を開設したとも書いてあります。

 そんな経緯があるのですが、ともかく、JR東海が現在工事をしているのは、「風越(妙琴)公園」です。案内看板Aと説明会の図面です。


[ どちらも画面クリックで拡大可能 ]
看板の拡大画像は右の図面に向きを合わせました。
図面はJR東海の説明会で配布されたもの。ピクニック広場が「施工ヤード」になります。
A:大平街道、B:発電所、E:のんび荘、F:吊橋、G:六地蔵、H:風越プール

 上の図面の「妙琴公園」と書かれた部分とアルファベットの A、B、E、F、G、H を記入した部分は、「風越プール + 妙琴原」のもっとも重要な部分、「風越公園」の中核部分だと思います。

影響があるのは実は妙琴原と風越プール

環境影響評価

 2014年8月の環境影響評価書では、この「風越(妙琴)公園」を、景観について主要な眺望の場所として以外に、「人と自然との触れ合い - 人と自然との触れ合いの活動の場」という項目で取り上げています。「地点番号06」「風越公園(飯田市)」という名前で扱っています。4枚の写真は松川右岸のキャンプ場、マレットゴルフ場(2枚)と、吊橋の妙琴橋から河川敷を撮影したものです(該当ページ)。

 「分布、利用の状況及び利用環境の状況」について次のように言っています:

分布: 飯田市鼎切石の松川周辺に広がる、施設面積0.2haの公園であり、キャンプ場、マレットゴルフ場等の施設がある。
利用の状況: 主な利用者は地元の住民であり、散策等に利用していいる。また、キャンプ場の施設等は、飯田市内外からの利用者も多い。キャンプ場の近くの松川では釣り客が見られるほか、マレットゴルフ場は高齢者が多く利用している。
 主な交通手段は自家用車であり、市内中心部から12分の場所に位置することから、アクセスが良い。
利用環境の状況: 施設内には、キャンプ施設、マレットゴルフ場等、周辺には宿泊施設もあり、利用しやすい環境である。
 妙琴橋からは、松川の河川景観を望むことができる。

 「飯田市鼎切石の松川周辺に広がる、施設面積0.2haの公園」という部分、先に紹介した、1994年5月12日の『南信州』の記事では妙琴公園の面積について約3ヘクタールと書いています。JR東海が言っている「風越公園」と同じ範囲のはずですから少し変です。現在JR東海がヤードの整備工事をしている部分は、地理院地図でざっと測っても7000~9000平方メートルはあります。つまり、0.7~0.9ヘクタールです。

 環境影響評価のこの項目の冒頭で、次のように言っています。「工事の実施(資材及び機械の運搬に用いる車両の運行、切土工等又は既存の工作物の除去、工事施工ヤード及び工事用道路の設置)及び鉄道施設(地表式又は掘割式、嵩上式、駅、変電施設、保守基地)の存在により、人と自然との触れ合いの活動の場への影響の恐れがあることから、環境影響評価を行った。」。それで、(1)工事関係車両の通行による影響、(2)土地の改変や建物施設などの撤去、(3)工事ヤードや工事用道路、(4)鉄道施設の存在、による影響について調査して評価しています。

(1)妙琴公園へ行くには、主なものとしては、国道256号線の「妙琴公園入口」(風越公園になっていない!)からと、大平街道(県道8号、飯田南木曽線)から行くルートがあります。大平街道の大休のバス停のそばに入口(案内看板Bの場所)があります。ここは残土運搬車が通行するので評価対象になるのに調査をしていません。

(2)切土工について

(3)ヤードの設置について

(4)鉄道施設の存在

 本線の橋梁が公園の端の部分を通過するのは間違いないですが、工事ヤードは0.8ヘクタール前後とJR東海が「風越公園」と認識する面積0.2ヘクタールよりはるかに大きいのです。「風越公園に指定されている一部を改変するが、当該箇所は公園の端部であり、一般利用者が公園として利用している場所ではない」とはあまりにフザケタ結論ではないかと思います。

 さて、3つの公園の案内看板を見てきましたが、元は下伊那郡鼎町と飯田市羽場地区に分かれていた、松川の右岸、左岸の両側に広がる「風越公園」は面積は約15.5ヘクタール。その全体に比べればちょっとでしょと、JR東海は言いたいのかもしれないと勘ぐってしまいたくなる、アセスメントです。

 まじめな話、繰り返しになりますが、松川の左岸の風越プールや六地蔵のある周辺、吊橋の妙琴橋、橋を渡った右岸のピクニック広場(松川第四発電所のビューポイント)、キャンプ場とマレットゴルフ場が、景観を楽しんだり、あるいは散策や遊びの場としての中核部分だ思います。とすれば、ヤードとしてピクニック広場を潰し公園のど真ん中に工事車両の通行する道路を造るのは、公園にとって非常に大きな被害だと思います。アセスの結論は不真面目で不適切です。この点を、飯田市が意見を出したかは分かりません。


 JR東海は工事ヤードの周囲に高さ約3mの白い塀を巡らします(たとえば)。そして山の斜面に足場を組んで大規模な桟橋(この図の工事用仮桟橋)を造ります。公園の利用や景観に大きな支障影響があるのは明らかです。それを認めたうえで、しかし、限られた期間我慢していただけば、リニアが出来たあかつきには、地域社会が素晴らしくなるのだから、どうか工事をやらせてくださいといえばよいはずです。影響は少ないと書くのは事実を隠すことで、最近明らかになって来た統計操作と共通点があると思います。


関連ページ

※注1:このページに書いてあることは内容的に古いです。レンズの焦点距離が28㎜だとか35㎜だとか論じてますが、JR東海が調査時にとんでもないミス(手抜きと言えるかも)をしていました。言ってみれば違うカメラを取り換え取り換え撮影していたのです。しかし、全部のフォトモンタージュを同じカメラ、同じ焦点距離で撮影したとデータを記載していました。現在、JR東海のホームページに掲載中の最終版の評価書は、「公文書」であるにもかかわらず、縦覧期限の終了後に断りなく訂正を加えています。撮影の操作としては、Pentax Optima(防水カメラ) の新旧2機種を使い、縦横比率の切り替えとトリミング加工をして画角を調整していました。素人でも考え付かないような素人っぽいやり方です。アセスの杜撰さの一端を示していると思います。防水カメラは、保護ガラス、プリズムが付け加わっていること、またセンサーのサイズが小さいので、同じ画素数だとしても、画質が劣ります。長野県のフォトモンタージュは画質の悪さが、他地域に比べ際立っています。まったく人をバカにしています。

「妙琴公園」

 ネットで検索すると「妙琴公園」または「妙琴原」という呼び方が一般的の(わかりやすい)ようです。