更新:2021/06/08

下市田ガイドウェイヤード説明会、6月7日(出砂原地区館)

アセス逃れの可能性が

 6月4日に、続いて出砂原地区館でもリニアガイドウェイの造成工事についての説明会がありました。高森町からの説明内容、配布資料は4日と同じ。JR東海からは、平永事務所長ほか3名が出席。

 住民側からの質問意見を聞いていて、リニア工事の飯田下伊那でも隣接する市町村での計画や状況があまり理解されていないと思う点もありました。

 6区では、ラウンドアバウトに工事車両が多数入ってくることについての心配の声がありました。ラウンドアバウトのサイズが小さすぎるとの意見がありましたが、私見としては、車速を低下させるのでむしろ良いのではないかと思います。改良した区間のスピード制限をという声もありました。改良区間について、計画段階から横断歩道を2か所ほどつけて欲しいという要望があって、計画前の道路についてもその希望が出され続けてきたのですが、今になっても、町側は、なかなか難しいなどといっていました。工事区間の一番南の四辻で住民が一人車にはねられてなくなっています。そういう実績があるんだから、ちゃんと公安委員会と交渉すべきではないかという不穏当な発言もありました。

 こちらに くわしく書きましたが、道路を横断する側溝から出る騒音振動について、他に完全に地下に入れた水路があるのだからこれらも暗渠化してはとの声に、道路表面の雨水を取り込む関係もあるが、検討するとのこと。

 町長はルートの変更について検討してみるが提案したルート以外にはいろいろ問題があるようなくちぶりでした。

 誘導員やガードマンの配置について、説明では何もふれていなかったので、どうするのかという質問が出ました。JR東海が主体でやる場合は最初から、標識の位置、ガードマンの位置まで示した工事計画を説明会で示していますが、松川町なんかはそうです、なんか物足りない説明だと思っていましたが、結局、高森町では、JR東海ほどの安全対策ができない、考えつかないということなんだと思いました。

 天竜川の河川敷には、町道7290号線から車の場合2か所で出入り出来ます。一帯の河川敷には、マレットゴルフ場やカヌーの発着設備などあり、われわれは親水公園と呼んでいます。環境影響評価書で、JR東海は釣りやカヌー下りをする範囲までふくめて「天竜川親水施設」と名づけて、「人と自然の触れ合いの活動の場」という項目で約2.6km下流に設置される「天竜川橋梁」との関連においてですが、評価予測の対象にしていました。要点は、工事車両は500m離れた国道153号線を通るので、「天竜川親水施設」へのアクセスや利用上の快適性への影響は少ないというものでした。この手のインチキアセスは他にもあるのですが、影響のないところを選んで評価するというやり方です。

環境影響評価書(長野県)本編 > 8-5-2 人と自然との触れ合い - 人と自然との触れ合いの活動の場

 しかし、ガイドウェイヤードをここにすることで工事車両が近辺を通ることは明らかで、利用者に大きな影響がある。環境影響評価と矛盾します。

関連ページ:高森のガイドウェイ組立ヤードはアセスと矛盾

 喬木村堰下のガイドウェイヤードは規模的には下市田の半分以下なのですが、2019年1月に「喬木村内発生土置き場(堰下)における環境保全について」という報告書を出しています。下市田の場合も実質的には同じことをするわけなので、つまり「発生土置場」であるので、こういった調査や保全計画を出す予定があるかと質問しました。

喬木村内発生土置き場(堰下)における環境保全について

 町は、高森町が行う作業用地造成事業であるので行う予定や余裕がないとの説明。JR東海の説明は、産業用地の工事は高森町がすることであって、JR東海としては、たまたまそこにあった空いている工場用地を使わせてもらうという形になるので、リニア関連の施設ではあるけれど、環境調査などは行わないというものでした。環境への影響というのは実質であり、書類上の違いはともかく、工事や行為は実質的には、喬木村の場合と同じで、さらに規模が大きいので、これは、高森町のチャッカリにJR東海さんが便乗したとしか言いようがないですね。

"アセス法の「事業者が複数でも目的・構想及び決定時期が同一であれば一連と見なされる場合がある」との考え方")『赤旗』6月5日 "環境アセス逃れ対応 基準見直し 岩渕氏へ答弁 参院決算委")からいえば、このヤードについても準備工事(耕土のすきとり)以前に環境調査の実施と保全計画の立案の過程がなされて当然だと思います。

 JR東海さん自身が親水公園を尊重すべきと、一応いっているんですから、町が言うイベント開催時にガードマンを配置するつもりなんてものじゃなくて、日常的に多くの人が利用する公園的なものなんですから、利用者のために横断歩道を設置することは絶対必要だと思います。付け足すと、親水公園のあたりは、天竜小渋水系県立自然公園 の範囲です。

 ガイドウェイヤードは水田約15ヘクタールを潰して造成します。水田の機能は、米作以外にも、豪雨時に水を貯める機能、河川氾濫の時の遊水地機能、周辺地域の気温を下げる機能など、気候変動対策の役割を担うものだと思います。日本の環境影響評価制度がまともなら下市田のヤードはできないはずです。高森町の環境に対する感覚は古すぎると思います。JR東海の方が少しはましかなと思えるくらいですね。

 ガードマンの配置など安全対策も、造成をJR東海がやる形にした方が住民のためになったはず。喬木村はそうなっている。高森町の行政はちょっと問題があると思います。おそらく、農地転用などの関連もあるのだとおもいますが、それら面倒くさい決りは基本的には国民や住民を守るために決められたものだと思うのです。それらをいち早くクリアできないと上手くいかないというリニア計画自体に問題があるはずです。住民第一という地方自治と基本的人権の尊重を軽く考えている。

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上流側の出入口。横断歩道の設置の要求が10年以上前から出ている場所もこの場所。

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下流側の出入口。この交差点で約10年前に歩行者の死亡事故が起きている。ここも横断歩道の設置の要求がある。左の坂道からは町道の見通しが悪い。スピードの速い町道側から見ると交差点は頂点になっている。交差点に侵入してくる車が発見しにくい。本来、通過車両を通すべき道路ではないと思う。


補足:2021/07/04

上の写真の交差点は農作業のために横断する人もいます。小学生もいます。ウォーキングやサイクリングの人もいます。上の写真で右の桜の木の向こうに畑があります。桜の木の向こう側から撮影。

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車の来ないのを確かめています。

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車が通り過ぎるのをまって横断。こんなのが安全ですか?

 JR東海が事業主体なら、こういう場所にはガードマンを配置するなり、注意喚起の看板を置くとか、何らかの事前の対策を考えたはず。ところが高森町は、高森町がやる事業だからやらないのだという。迷惑や危険にさらされる住民にとっては実質は同じです。

 多分、どこかで書いたと思いますが、こういうふうに毎日毎日、歩行者がいるのだから、横断歩道を設置するとか、工事期間はガードマンを置いて欲しいという要望に、壬生町長は、河川敷の親水公園でイベントなど行われるときはガードマンを置いて誘導するつもりと答えています。話がかみ合っていません。