更新:2025/07/02

下條村睦沢の残土置場のようす、6月29日

 JR東海の2024年度の環境調査の報告(*)に、下條村の残土置き場に2万㎥を運んだと出ていたので、久しぶりに見てきました。予定地の中央付近に村道1号線があってその道路付近で工事が行われていました。下條村の広報やJR東海の計画ではそれより下流側の調整池なども完成しているはずですが、そのあたりは急な谷底であることと林の木立がじゃまをして見ることは出来ませんでした。

* 2024年度における環境調査の結果等について【長野県】 2025年6月 の「参1-8」= pdfのp510

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道路は下條村の村道1号線。埋立完成以後は盛土の上に直線的な道路になるようです。

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村道1号線から見える一番の下流側。

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工事ヤードの塀の表示。飯田市内のリニアのトンネル工事で出てくる残土を使う予定。最初のうちは南木曽からも運んだようです。

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村道は谷の奥のほうでカーブしています。右の囲いの向こう側にこの谷を流れる川があります。

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水が流れているから谷ができるわけで、川(*)があります。左の崩れている部分をみるとこのあたりの地質はかなりもろいのではないかと思います。

* 火沢川。保全計画書 2-3 図2-2 pdfのp9

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国道151号線、飯田市と下條村の境を流れる阿智川にかかる「万歳大橋(まんざいおおはし)」の上から下流側を見たところ。残土を埋める谷の出口は赤い屋根の阿智川発電所のすぐ下流です。盛土の最下流部の様子は見えません。8年ほど前に谷の出口付近から「万歳大橋」は見えたので、たぶん見えると思ったのですが。

gooleマップの航空写真を見ると、工事はまだ、谷の阿智川への出口近くまで達していないようです。黄色の丸が村道1号線から見える範囲。赤い丸の部分は見えません。

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「万歳大橋」から上流側を見たところ。151号線の旧道の橋が見えています。赤い屋根の左側に見える新緑の筋は阿智川に沿っています。旧道の橋から手前の川の流れが食い違っています(画面クリックで補助線が見えます)。この付近に断層(活断層)あることを示していると、地質学者の松島信幸先生から聞きました。

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旧道の阿智川発電所の上から見上げた国道151号線の「万歳大橋」。補修工事をやっているようです。旧道から谷の出口に行く道があったはずなのですが、見つけることができませんでした。

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国道151号線の旧道は、橋の老朽化のため通行止めになっていました。

埋立計画は活断層があることを無視している

 工事の計画はJR東海の「下條村内発生土置き場(睦沢)における環境保全について」(*。以下、保全計画書)によれば、面積約10万㎡、埋め立てる残土の量は約115万㎥。埋立完了後の利用については下條村が検討中となっています。下條村はなんの明確な目的もないのに漠然と谷を埋めるわけです。

* 下條村内発生土置き場(睦沢)における環境保全について (2022年4月)

 JR東海の「保全計画書」は「3-3-3 土壌環境(重要な地形および地質、土地の安定性)」(p39~)では、断層や活断層について触れていませんが、予定地と付近には断層や活断層(下伊那竜西活動セグメント。*)があります。

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[拡大画像に「万歳大橋」から写した写真の補助線を入れました] (『地質Navi』より) ピンク色の太い線が活断層、太い黒線は断層。残土の谷埋めは、「道の駅」から発電所の記号の間です(だいたい図中矢印の範囲)。

* 下伊那竜西活動セグメント(所属起震断層名 : 下伊那竜西起震断層) (活動度はまだ評価されていない)

 活断層が埋立予定地内にある点は、豊丘村の本山(ほんやま)の残土置場(*)と同じです。

* 本山の残土置場と活断層(1)(2)

 付近になにか防災関係の指定があるか「信州くらしのマップ(防災)」で調べてみました。いろいろ多彩な防災上の指定があります。

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[ 拡大 ]

 工事の実施状況については、下條村の広報誌「志もじょう」に出ていました。

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